ESCAPE③ 大東連続殺人事件

第2話 何かが起こる

　結城と美咲は、大東市の静かな通りを歩いていた。夏の日差しが優しく照らし、二人の影が並んで伸びる。美咲は、小さな手作りのパン屋を見つけると立ち止まり、興味深そうにショーウィンドウを覗き込んだ。

「このパン屋、昔からあるのかな？」美咲が微笑んで結城に問いかける。

　結城は、懐かしそうにその店を見つめる。「ああ、ここは俺が子供の頃からあったんだ。親父と一緒によく来たよ」

「そうなんだ。それなら、ここで少し休んで行こうか？」美咲が提案する。

　二人は店内に入り、木の温もりが感じられるテーブルに座った。結城は、昔の思い出話をしながら、地元のパン屋での時間を共有する。美咲は、その話を興味深く聞き、彼の知られざる一面を知る喜びを感じていた。

　外に出ると、大東市の広がる風景が二人を迎えた。結城は美咲に、この町の隠れた名所や思い出の場所を案内し、二人は自然の中でリラックスしながら過ごした。

　最後に、結城と美咲は大東市の川沿いを歩きながら、夕暮れの美しい光景を見つめた。川の水面に映る夕日が、二人の心にも穏やかな感動を与え、静かな時間が流れる。

「今日は、すごくいい一日だったね」美咲が満足そうに言った。

　結城は頷きながら、「またこうして一緒に来よう」と優しく答えた。

　大東市は平安時代より、東高野街道など大阪と奈良を結ぶ交通の要衝として栄え、また戦乱の舞台ともなってきたが、江戸時代の治水・新田開発などにより、商都大阪の重要な後背地となった。

　地名の由来は「大阪市の東部に隣接する衛星都市として飛躍的発展が期待されるという明るい展望」を、「光は東方より」という古代ローマのことわざに託したことによる。

　### シーン: 大東市の裏路地

結城は大東市の薄暗い裏路地を歩いていた。人通りも少なく、街灯がちらほらとしか立っていないため、ほとんどが闇に包まれている。結城の目的は、ある情報屋との接触だった。彼は何か重要な手がかりをつかもうとしていたが、その前に、ある人物と偶然遭遇することになる。

結城が歩みを進めていると、突然、向かいから歩いてくる人影が見えた。その人影は、結城の知っている誰かに似ていた。近づくにつれて、その顔がはっきりと見えてきた。

**結城**：「…木下ほうか？」

木下ほうかは、不敵な笑みを浮かべながら結城の方に歩いてきた。彼の手には煙草が握られており、紫煙がゆっくりと漂っている。

**木下ほうか**：「こんなところで会うなんて、奇遇だな、結城」

木下は結城を一瞥しながら、煙草を一口吸った。彼の目には冷たい光が宿っており、その態度からは余裕と何かを企んでいるような気配が漂っていた。

**結城**：「お前がここにいる理由を聞いてもいいか？」

**木下ほうか**：「さあな、どうだろうな。お前こそ、こんな場所で何をしているんだ？」

結城は、木下の言葉に微かに眉をひそめた。彼がここにいること自体が不自然だった。木下はいつもどこかしら怪しいところがあり、裏社会とつながりがあることは結城も知っていた。しかし、この場面での遭遇は、何かしらの運命的なものを感じさせる。

**結城**：「俺はただの散歩だ。お前が何をしているのか、それに関係あるのか？」

木下は微笑みを崩さずに、結城を見つめ返した。

**木下ほうか**：「それが関係あるかどうかは、お前次第だな。だが、ひとつ言えるのは、今夜は何かが起こる夜だってことだ。お前のような奴が関わりたくないことにな」

結城はその言葉に動揺を見せなかったが、内心では木下の言葉が気になった。この男が何を計画しているのかは分からないが、ここでの接触が偶然でないことは明らかだった。

**結城**：「それは楽しみだな。俺も何か面白いことを期待してる」

**木下ほうか**：「ふふ、まあせいぜい気をつけることだな、結城。今夜のことは忘れないほうがいい」

そう言い残し、木下ほうかは結城の横を通り過ぎていった。その背中を見送りながら、結城はこの偶然の出会いが何を意味するのかを考え始めた。

街の静寂を破るかのように、結城のスマートフォンが震えた。ディスプレイには「情報屋からのメッセージ」と表示されていた。

**結城**：「…今夜は確かに、何かが起こるかもしれないな」

結城は一歩踏み出し、木下ほうかが歩いていった方向とは反対に進んだ。その心には、木下との再会が何をもたらすのかという疑念が深まっていた。