第5話

・ジャックは鞍に乗り手綱を引くとノアは少し眠たそうに歩き出す。静かな村の中心を抜け奥に進むと閉店セールの幕を掲げた賑やかな店が見えてくる。

〈ジャック〉調合屋に着いたな。

相変わらず閉店する気もないくせに。

幕も色褪せてるじゃないか。

・ジャックは店に着くと馬車を停め店に入る。

〈ジャック〉ジジイ、やってるか?

・ジャックが呼ぶと奥からエルフの青年が出てくる。ジジイと呼ばれた青年は文句を言いながら要件を尋ねる。

〈ジジイ?〉ジジイって呼ぶなよ。見てみろよこの顔シワ一つないんだぞ!

んで要件は?

〈ジャック〉わかったからライア顔離せ。

いるのはこれだあるか?

・ジャックはライアの顔をはがし

リストを渡す。

〈ライア〉えーと、マンドラゴラ、蟲喰草の粉

ワイバーンの皮膜、下着、タオル。

ワイバーンの皮膜ねあったっけな。えーと下着とタオルはねぇぞ。

例の薬の材料か、いつか調合法を教えてほしいよ。

〈ジャック〉下二つは別件だ。

あぁある分だけで良い、できれば早めに頼む。

陽が落ちるまでに帰りたい。

〈ライア〉あ〜例の魔物騒動で襲われるの嫌だから?それとも愛しのハニーの為に早く帰ってイチャラブしたいのかい?

〈ジャック〉口じゃなくて手を動かせ。

〈ライア〉ちゃんと動かしてるさ。確かこの何処かに...あった皮膜、マンドラゴラはここで蟲喰草はここ、粉末じゃなくてもいい?

〈ジャック〉あぁ問題無いはず。

〈ライア〉じゃあお代は15,000Rね。

・ジャックは言われた通りの金額を机に置く。

ライアは目を輝かせ代金をポケットにしまう。

すると何かを考え込み、ジャックに伝える。

〈ライア〉今日朝来た商人さんが持ってきてくれた物なんだけどお得意様だし特別に2000Rで

売ってあげるよ。

・そういうとライアは棚から商品を取り出す。

ジャックの前に鮮やかな小瓶が置かれる。

〈ジャック〉これはなんだ?見慣れない瓶だな

〈ライア〉サキュパスの涙っていうんだ。

別名:馬の媚薬って言われてる。魔族が多種族の拷問に使う薬さ。数滴飲み物に入れるだけでほとんどの種族は快楽漬けになるって言われてるよ。僕もこれが本物なら見たのは初めてだよ。ただ僕には悲しいことに相手がいないから、試して欲しいんだ。

・ライアは好奇心旺盛な子供のようにジャックに押し付けるがジャックは興味無さ気に小瓶を押し返す。

〈ジャック〉使わんぞそんなもん。

さっき本物なら拷問に使うって言ったよな、

よくそんなもん人に売れるな。お前のその神経だけは尊敬するよ。

・ライアはしょんぼりしながら小瓶を棚に片付ける。

〈ジャック〉そんな分かりきった事で落ち込むな、俺が買わない事なんて分かってただろ。

〈ライア〉やっぱりか、こんなもんなくても

君は楽しい夜を迎えれるだろうね。

・ライアはいつもの性格に戻り、商品の棚を片付け始める。ジャックはため息をつきながら

カバンに荷物を詰める。

〈ジャック〉じゃあ、またなジジイ

〈ライア〉だからジジイって言うな、

気をつけて帰れよあれ以降村に近づいた痕跡もないらしいから。

〈ジャック〉おう。

・ジャックは挨拶をすると店を後にする。

そして雑貨屋に歩きだす。




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