第8話 浴衣お姉ちゃんと介抱 ~柔らかい膝の上で~

 :◆SE うちわでパタパタ扇ぐ音



「あっ、気付いた? 良かった~」


「心配したんだよ~。お部屋に戻ってきた途端に気絶しちゃうんだから。救急車呼ぶことも考えちゃったんだからね」


「大丈夫? 起きれる?」


「うん、よしよし。ちゃんと動けるみたいだね。良かったぁ」


「えっ? どうして浴衣着てるのかって?」


「……お、お姉ちゃんがね、着替えさせてあげたからなの!」



 :◆声 照れくさそうに・開始



「は、裸のまま寝かせたら、風邪引いちゃうでしょ? キミの体も濡れたままだったし…」


「安心して! できるだけ見ないように拭いたんだから!」


「ちゃんと目を瞑ってたからね? でも、箱の中身は何だろなゲームみたいになって、途中でぐにゃっとした感触があったっていうか……」



 :◆声 照れくさそうに・停止



「あっ、そうだよね、恥ずかしいよね。でもしょうがなかったんだよ~」


「うん、うん。わかってくれた?」


「ほらほら、だから、ね? お姉ちゃんのお膝に戻ってきて? もう少しここで休んでた方がいいよ。急に立ち上がったら立ち眩みがしちゃう」


「うん、そうそう。偉いね」


「鼻血も出しちゃったし、のぼせる感じになっちゃったと思うんだよね」


「だから、はい」


「お姉ちゃんの手、どうかな?」


「ほっぺ、冷たい?」


「ふふ、お姉ちゃん、手が冷たいって友達からよく言われるんだ」


「これでね、キミの熱をちょっとでも和らげられたらって思って」



 :◆SE リスナーの顔に手のひらを当てる音



「おでこはどう?」


「ふふ、冷え~でピタ~なあれみたい?」


「そっかぁ。気持ちいいんだね。じゃ、次はね、ちょっと目を閉じてくれるかな?」



 :◆リスナーの目元を手のひらで覆う知弦ちづる



「目元が冷えたら、どんな感じ? 落ち着くかな?」


「心地よくて眠っちゃいそう? もうすぐお夕食が運ばれてくるから、そのあとまで我慢しようね?」


「このまま続けたら、キミは本当に眠っちゃいそうだから、別の場所にするね」



 :◆SE リスナーの首に手のひらを添える音



「次は~、ここ」


「首。どうかな?」


「そっかぁ、さっきほどは冷たくないか。ごめんね。お姉ちゃんの手のひら、キミの熱を吸い取っちゃったみたい」


「じゃあ手のひらはやめにして……お姉ちゃん、キミにしたいことがあって、そのために必要なもの持ってくるから、ちょっと代わりにこの座布団を枕にしててね~」



 :◆SE リスナーから離れる足音


 :◆SE 数秒後、戻って来る足音



「おまたせ~。またお姉ちゃんのお膝に戻ってきてくれる?」


「うふふ、すぐにお姉ちゃんのお膝を枕にしてくれると、信頼されてるみたいで嬉しい」


「キミのお熱もだいぶ下がってくれたみたいだから、今度は音で涼しい気分にさせてあげちゃう」


「ほら、グラスにいっぱい氷を入れてきたの」



 :◆SE グラスの中の氷がカランカランぶつかり合う音



「即席の風鈴だよ」


「からんから~ん」



 :◆SE 数秒間、リスナーの右耳でグラスを軽く揺らす



「どう? 涼しい気分になってきた?」


「からんから~ん」


「ふふふ、昔ね、赤ちゃん用のおもちゃで、こうやってからんからん鳴らしてあやすやつがあったんだって」



 :◆声 囁き



「今のキミは、赤ちゃんかな?」


「バブちゃんだと思って、あやしてあげるね?」



 :◆SE 数秒間、リスナーの左耳でグラスを軽く揺らす


 :◆声 耳元で。あやすように語りかける・開始



「からんから~ん。いい子、いい子」


「キミは、とーってもお姉ちゃんのことが好きになる。好きにな~る」


「ふふ、思わず催眠ごっこしちゃった」



 :◆SE リスナーの耳元でグラスを軽く揺らす



「でも、ほんとに効いてくれたら嬉しいな」


「お姉ちゃんはキミのこと、大好きだから」


「でも、キミの周りにはキミのこと好きな女の子がいーっぱいいるよね」


「ふふふ、そんな人いないって?」


「じゃ、これからだね」


「お姉ちゃんには、ライバルがいっぱいいるんだ」


「だから、キミがバブちゃんになってるうちに、こうしてグラスからからで洗脳しちゃう」



 :◆SE リスナーの耳元でグラスを軽く揺らす



「お姉ちゃんが、キミのことだーいすきだってこと、忘れちゃダメだよ?」



 :◆声 耳元で。あやすように語りかける・停止



「えっ? あっ。は~い」


「ご飯が来たって、バブちゃん」


「ふふ、せっかくの美味しいご飯だから、おっきして一緒に食べよっか?」

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