第7話 浴衣お姉ちゃんと背中流し ~浴衣じゃないお姉ちゃんその2~

 :◆SE 数秒間、シャワーが流れる音


 :◆SE シャワーの栓を、きゅっと止める音



「じゃ、お背中洗っていくね~」


「このハンドタオルで、キミの背中ごしごししちゃう」


「でも、あんまり強く擦るとお肌に良くないから」


「お姉ちゃんがキミの頭を撫でるみたいに、キミの背中も大事に大事に優しく撫でてあげるね?」



 :◆SE リスナーの背中をボディソープの泡付きタオルで擦る音



「 (数秒ほど呼吸音。機嫌がいい様子で、リスナーの背中を優しく擦る) 」



 :◆声 囁き・開始



「どうかな? 痛いとかかゆいとかない?」


「そっか。よかった~」


「ふふふ、ボディソープでいっぱい泡立てしたからね」


「泡がクッションになるおかげで、タオルが優しい感触になるから、お肌がヒリヒリしないでしょ?」


「ほら、するする~って肌の上を滑っちゃう」



 :◆声 囁き・停止



「 (鼻歌交じりで、機嫌よくリスナーの背中を優しく洗う) 」



 :◆声 囁き・開始



「よいしょ、よいしょ」


「ふふ、キミの背中、前よりおっきくなったから、洗うの大変~」


「でも、なんかすごい感慨深いよ~」


「あんなにちっちゃかったキミが、もうこんなにおっきな背中して。大人みたいだね」


「キミのこと、子ども扱いしちゃうのも考え直さないといけないかな?」



 :◆声 囁き・停止



「えいっ」



 :◆声 リスナーの背中に頬を着ける知弦



「ふふっ、キミの背中にほっぺくっつけちゃった」


「……いいでしょ。動かないで。たまには、お姉ちゃんにも甘えさせて?」


「うん。ありがと」

 

「はぁ、昔はキミのこと、おんぶしたことだってあったのになぁ」


「今はキミの方が背が高いし、体も大きいから、もうおんぶなんてできないね」


「逆に、わたしの方がしてもらいたくなるくらいだよ~」


「なんて! わたしはキミよりお姉ちゃんなんだから、甘え過ぎちゃダメだよね!」



 :◆声 顔を離し、声もリスナーから離れる



「うふふ、ほっぺが泡だらけになっちゃった」


「じゃ、お背中の泡々流しちゃうから、シャワーヘッドをこっちに貸してくれるかな?」


「ありがと~。さ~って流して、キレイキレイにしちゃうね~」



 :◆SE 数秒の間、知弦の鼻歌とともにシャワーが流れる音



「よしよし、泡が取れて、キミの背中が見えてきた」


「うん、つるっつる!」


「わ、指通りも最高~」


「うふふ、ごめんね、くすぐったかった?」


「じゃあ、お背中も流し終えたし、上がろっか?」



 :◆声 知弦、立ち上がる。リスナーから離れていく声



「もうすぐお夕食が運ばれてくるから、それまで一緒に――」


「――あっ、体に巻いてたタオルが取れ……」


「わわ、キミ、鏡は今絶対見ちゃダメだから――」



 :◆SE リスナー、倒れる音



「えっ!? だ、大丈夫!? 鼻血がいっぱい出てるよ!?」


「えっと、し、死んでない……よね? うん、その辺は大丈夫そう」


「こんなところで倒れたままじゃ風邪引いちゃうし、と、とりあえず部屋に運ばなきゃ~! ごめんね、おんぶしてあげるから、わたしの背中に覆いかぶさって?」


「ほら、今遠慮なんかしてる場合じゃないでしょ?」


「うんしょ、ど、どうにか運べそう~……」※重そうに


「まさか、26歳になってキミをおんぶする機会が来ちゃうなんて……」


「これはこれで、感慨深いかも……」


「安心してね! お姉ちゃんが絶対キミを助けてあげるから……!」

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