第6話 浴衣お姉ちゃんとお風呂 ~浴衣じゃないお姉ちゃん~

 :◆SE 客室の露天風呂。ちょっと音反響



「うふふ、どう? いいでしょ~」


「大きなお風呂もいいけど、せっかくだしゆっくりい楽しみたいと思って。キミと一緒に入れる露天風呂があるこの部屋を選んだの」


「見て見て、すっごくいい眺め~。ほら、山が夕焼けに染まって真っ赤っ赤だよ~」


「……うーん、ね、キミ」



 :◆SE リスナーへ近づく足音


 :◆声 リスナーのすぐ近くで



「どうしてずっと背中向けてるの?」


「こんなにいい景色なのに」


「えっ?」


「なんだぁ。そんなこと気にしてたの~?」



 :◆声 囁き・開始



「お姉ちゃんの裸に興味持つなんて。キミにはまだ早いんじゃないかな~」


「ふふ、でも嬉しい。どんなところでも、キミがお姉ちゃんに興味持ってくれたら、すっごく嬉しいよ?」



 :◆声 囁き・停止



「でも大丈夫! ほら、こっち見て~」


「大丈夫大丈夫~。騙されたと思って」


「ほらね?」


「ちゃーんとバスタオルで体を隠してるんだから!」


「ああっ、どうしてまた背中向けちゃうの~」


「ちゃんと隠すところは隠してるのに」


「もう。本当に恥ずかしがり屋さんなんだから」


「キミがそうやってずーっと背中向けてるなら、もう先に湯船に入っちゃうからね」



 :◆SE 湯に浸かる音



「ほら~、おいでよ~。そんなところにずーっといたら、体が冷めて風邪引いちゃうよ?」


「むぅ。わかったよ。じゃあ、背中向けたままでいいから、お湯の中入ろ?」


「キミが体調崩しちゃったら、それだけでこの旅行から楽しい思い出がなくなっちゃうよ」



 :◆SE 湯船へ向かう足音



「そうそう、ありがと。じゃあこっちに来て一緒に――」


「あーあ、後ろ向きで歩いたら危ないんだから」


「キミも結構頑固だよね。そこ、段差あるから気をつけてね」



 :◆SE 湯船に浸かる音



「うふふ、やっと来てくれた。どうかな? お湯加減は?」


「最高でしょ?」



 :◆SE 湯船のお湯を、リスナーにぱしゃぱしゃかける音



「ほらほら、もっと思い切りお湯に浸かって、気持ちよくなっちゃっていいんだよ~」


「ほーら、お湯攻撃~」


「きもちくなーれ、きもちくなーれ」


「もう! キミもやり返してくれないとつまらないよ~。本当にずっと背中向けたまんまなんだから~」


「背中……閃いた」



 :◆SE 湯船の中を移動してリスナーに近づく


 :◆声 以下、囁き



「ねーえ、お姉ちゃんが背中流してあげよっか?」


「ほら、そこの椅子に座って、目を瞑ってるだけでいいから」


「ね? それくらいならいいでしょ?」


「お姉ちゃんと裸のお付き合いしようよ~」


「ほんと? ありがとー」


「じゃ、キミのために、お姉ちゃんが泡々でお背中流しちゃうからね?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る