第4話 録音


お兄様に音の魔術士、テルンが欲しいというと、本人と報酬が折り合うならと言われた。


これからは使用人となる。まずは能力の確認、私の声でも記録できた。あれ、でもこんな声ではないよ?


使用人に聞くと、間違いなくお嬢様の声ですと言われた。たしかに他の人の声を試すと再生も同じ声だ。不思議だが仕方ない。思ったより変な声で他人には聞こえているんだな。私。


まずは教会に行く。神父に聖歌を記録してみたいといってお布施を多めに払うと許可が出た。日曜日のミサの前の練習時に記録のため通しで歌ってくれるという。


水曜日、テルンを連れて教会へ連れて行った。途中の坂道で聖歌が聞こえる。

今日は3曲、最後の曲は聖歌隊だけではなく参列者も一緒に歌う予定だが、録音は聖歌隊のみで行う。バラバラにしたいので、3回に分けて録音することにした。


思っていたのと違う。

いや、悪くはないんだけどね。教会の中ではもっと神秘的に響いていた。


響かせる···再生の石をギターに入れてみるか?

試してみると、少しマシな音がした。楽器工房で話してみることにする。テルンは興味なさそうだけど、この子がいないと始まらないんだよね。


戦乱で仕事が減っていたらしく、研究に資金を援助すると言ったらのってきた。録音した石を一つ渡して、よく響く入れ物を考えてもらう。


録音した3つの石、区別がつかないので色を少し付けた。これ、増えてきたらどうしよ。


問題解消のため石以外に録音できるか試した。硬いものであれば案外何でも録音できるが木、皮はできなかった。


ガラスは透き通った音がして、高い声が映える。

大理石は悪くないが、音が小さかった。

鉄は大きな音が出るが音があまり良くない。

金は音がこもった。


一番良かったのは水晶、小さくても使えるので宝石にならないような屑水晶を集めることにした。

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