婚約破棄された第一王女、実は素手でモンスターを討伐できる程強かった~ドラゴンも素手で倒せます。婚約破棄を取り消したい? 今更言われてもちょっと……~【短編】

琴珠

短編

【前書き】

恋愛初挑戦です!

ギャグ成分多めです!


「お前との婚約を破棄する!」

「なんですって!? それは本当ですか!?」


 金髪の第一王女【オーバークイーン】は、銀髪の第一王子【ナイトキング】に突然婚約破棄を宣言された。

 居酒屋で焼き鳥をつまみに酒を飲んでいた所、突如キングが神妙な表情で、クイーンに言い放ったのだ。


「理由はなんですか!?」

「理由は簡単だ! お前が弱いからだ!」


 キングはビールの入ったジョッキを机に叩きつける。


「弱いから!?」


 何を言っているのだろうか?

 そう思ったクイーンは、反射的に言い返してしまった。


「ああそうだよ! この前ドラゴンを討伐しに行ったよな?」

「え、ええ」


 この前、冒険者ギルドにブラックドラゴンの討伐依頼があった。

 それをクイーンとキングは受注し、討伐しに行ったのだ。


「あの時、お前は何をしていた?」

「何をって……しっかりと攻撃を……」

「嘘を言うな嘘を! お前は後方でただ拳を振るっていただけじゃないか!」

「違うの! あれは!」


 ただ拳を振るっていたのではない。

 汗を物凄い勢いで飛ばして、相手に大ダメージを与え続けていたのだ。


「前から言っている通り、私は汗を弾丸のように……」


 話に割り込むように、キングが口を開く。


「そんなことできる訳ないだろ!」

「で、でも!」


 クイーンは下を向いて、シュンと表情を暗くした。


「そこまで言うなら、俺と決闘しろ!」

「決闘?」

「ああ! もしもお前が俺に勝ったら、婚約破棄は無しにしてやる!」

「ええ!? 私に勝つつもりなんですか?」


 あまりに哀れなキングの発言に、クイーンは思わず目を丸くしてしまう。


「ビビりやがって! どうした? 受けるのか? それとも受けないのか?」

「受けます!」


 こうして明日、王都のコロシアムにて、クイーンとキングが試合をすることになった。



 王都のコロシアムには、大勢の人が集まった。

 観客席は満員のようだ。


「本当にやっちゃっていいんですか?」

「それはこっちのセリフだ!」


 屋根のないコロシアムのフィールドで、クイーンとキングは互いの目を見ると、指定の位置についた。


「ルールを説明します! ルールはシンプル! 先に立てなくなった方の負け! では、試合開始!」


 審判が試合開始の宣言をすると、キングは剣を抜いてクイーンに襲い掛かる。


「え?」


 バキッ!

 キングの剣の刀身は折れ、吹き飛ぶと、壁に突き刺さった。


 クイーンはただ拳を振るっただけだ。

 汗を弾丸のように飛ばし、剣を破壊したのだ。


「もう終わり?」

「あ、ありえない!」


 キングは折れた剣で、クイーンに襲い掛かる。

 だが。


「うおおおおおおおおおおおおおおりゃあっ!」

「ぬんっほおおおおおおおおおおおおお!?」


 クイーンの拳がキングの顔にめり込む。

 ただ殺す気はないので、かなり手加減をした。


 キングは観客席まで吹き飛ぶ。

 しばらくしても起き上がらないので、気を失ったのだろう。



「俺の負けだよ……」

「そうみたいですね」


 控室で、2人きり。

 クイーンは椅子に座り、キングはあお向けで寝ている。


「俺が間違ってた。婚約破棄を取り消したい」

「もう遅いです」

「そんな!? どうして!?」

「それは簡単なことです。今度宇宙に行くからです」

「宇宙!?」

「はい。今度別な惑星の方と試合をすることになりました。先程の戦いを見て、スカウトが来ましてね。強い相手と戦いたいので、私はそちらを優先します」

「そ、そんな……!」


 ここでキングは立ち上がる。


「待ってくれ!」

「もう遅いです! 私は宇宙一の称号を手に入れるのです!」


 クイーンはキングに背を向け、控室をあとにしようとする。


「そんなぁぁぁ!!」


 キングは叫ぶ。

 だが、すぐに冷静になる。


「俺も連れて行ってくれ」

「どうしてですか?」

「君が好きだから……いや、違う。君と一緒にいたいからだ!」

「第一王子という立場を失ってでもですか?」

「ああ! 正直、今の俺が君を異性として好きなのかは分からない。 けど、君と一緒にいたい! 一緒に強くなりたい! それは確かなんだ!」


 クイーンはキングの方を向く。


「険しい道ですよ?」

「構わない! 俺ももっと強くなりたい!」


 ここでクイーンが笑う。


「合格です」

「え?」

「実は、宇宙で共に戦う最後の戦士を探していたのですよ」

「で、でも! 俺はそんなに強くない!」

「大切なのは気持ちですよ。貴方はまだまだ強くなれます。一緒に強くなりましょう!」

「あ、ああ! すまない!」


 こうして、2人は他の選手と共にロケットで宇宙に旅立った。

 その後、クイーンは【宇宙一の戦士】の称号を手に入れ、キングは【不死身のキング】の称号を手に入れるのだが、この時の2人はまだ知らない。


【後書き】

面白かったら、画面下↓の星を称えるから、お好きな数で評価をしていただけますと嬉しいです!


短編だけでなく連載も書いておりますので、気になった方はぜひそちらもチェックしていただきたいです!

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婚約破棄された第一王女、実は素手でモンスターを討伐できる程強かった~ドラゴンも素手で倒せます。婚約破棄を取り消したい? 今更言われてもちょっと……~【短編】 琴珠 @kotodama22

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