第39話 断頭台

「嫌っ、嫌!離してよ!?」


レティシアは今日、断頭台に登る。


悪魔に取り憑かれたことが報告され、国に危機をもたらす上に、処刑が1番安楽だろうと判断されたのだ。


「レティシア・ティアナ・エリオット。何か申し出はあるか」

「…ええ。この魔封じの腕輪、外していただきたいのです」


たしかに、それは堅苦しいだろう。

どうやらそれは、心臓をぎゅっと掴まれている状況に陥るそうだ。


「しかし、あなたは大罪人だ」


すると、皇帝が口を開く。


「外してやればいい。どうせ死ぬ」


将来娘となるはずだった令嬢にも、慈悲の言葉は無く、平気で「死ぬ」 と言う。父といえば父らしいとも言える。


しかし、外す前にーー


「うわっ!」


腕輪には、ヒビが入った。

そして、その瞬間、彼女の腕から割れ、粉々になってしまった。


レティシアは、その場に倒れ込む。


急いで頭を支えた。


「どういう、ことだ…?」


皆唖然としている。

それもそうだ、決して割れないと知られていた常識が覆されたのだから。


そして、断頭台を、闇が包み込む。

次いで、光が溢れ出す。


「なんだ、これは…」


それぞれ闇は、人間の男のような形をし、光は人間の女のような形に定まる。


「助けに来た。私の大事な愛し子よ」


光は、そう口にした。



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