第37話 不可解な言動
「ちょっと、何この食事!もっとマシなのはないの?」
「そ、そう言われましても…5番牢の方の食事はこれ、と決まっておりまして…」
「はあ?私は子爵令嬢よ」
なんだ、これは。
レティシアは、こんな人じゃないーー。
「殿下。最近レティシア嬢の様子がおかしいそうです」
報告を受けて駆けつけてみれば。
「あ、アルフォンス様。見てください、この食事酷すぎません?」
「仕方がない、決まっているのだから」
「ええ…」
椅子に足を組んで座り、居丈高に使用人に命じる傲慢な様子。
あきらかにおかしい。
さらに二日後、彼女は踊りはじめた。
音楽もないのに、くるくると回りはじめたのだ。
はたからみれば華麗だが、不可解な行動だ。
「頼む、パトリシア嬢」
パトリシア嬢は見通しの力を持っている。
それは、精霊、悪魔、嘘をついたか否かーー。
なんでもわかってしまうそれは、愛し子の加護に次いで「花ある力」と呼ばれる。
そしてそれは、パトリシア嬢の家、トゥリビア家に代々受け継がれる力だ。
「い、いいでしょう。私も皇太子妃は諦めたのですし」
彼女は今、他公爵家の恋人ができ、婚約までしているという。
「こっちだ」
パトリシア嬢は、くるくると回り続ける彼女を見て、唖然とした。
「ど、どうしたのです?」
「そのためにあなたを呼んだのです」
なるほど、と納得したようで、彼女はレティシアを見始めた。
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