第33話 招かれざる客

「はじめまして、レティシア・ティアナ・エリオットと申します」


彼女はにっこり笑った。


「私は精霊女王リディア。人は女神リディアと呼ぶそうだ」

「…!ですが、女神リディアは精霊女王に遣わされた者だと…」


そう。

地上では、精霊女王=女神リディアではないのだ。


「そうらしいね。でも、実は同じだ」

「作用でございましたか。ところで、私はどうして来たのでしょう?」

「あの古代魔法の本は、精霊界と繋がっている。ーー普通は開けないんだけど…」

「え…?」

「ああいや、なんでもない。それにそなたがしおりを挟んだから「印」がついたことになった。これからいつでも来られる」


レティシアは納得し、そしてはっとする。


「よければ殺魔法について教えていただけませんか」

「そうだなぁ…」


しかし、リディアは躊躇う。


「あれは、精霊界以外情報を漏らしてはいけないんだ。見ちゃったことには仕方ないけど…」

「そう、なのですね…失礼いたしました」

「まあ、いつでも来なさい。大歓迎だから」



レティシアが帰って、リディアはアデルに命じる。


「すぐに見張りなさい。決して知られてはいけないから」

「はい」


アデルは、黒いローブに身を包み、地上に降りていった。

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