第30話 その後

「アルフォンス様、大丈夫でしたか?」


レティシアが走ってきた。

心配してくれるなど、レティシアは変わらず優しい。


「ああ。心配するな」


ルビィ嬢が来た時は驚いた。


すぐに、気持ち悪いと思った。

はっきり言って、一番苦手なタイプだ。


「よかったです…!」


「すまないが、私はルビィ嬢の元へ行かなければならない。ーー一緒に来るか?」

「はい、行きます」


しかし、レティシアは一番危ない。

きっと、狙われているのだろうけれどーー。


「殿下っ来てくれたのですね?」


不愉快な話し方。


「動機は?」

「えっと…動機ですか?」

「ああ、そうだ」


すると、レティシアを睨んだ。


「嫉妬、したんです…」


やはり。

レティシアを連れてきたのは、間違いだったかもしれない。


「だってっ、なんでそんなに殿下に愛されてるの?私の方が、何倍も優ってる!」


レティシアは不思議と、じっと黙って聞いている。

そこに、不快感はないのだろうか。


「私は、殿下が大好きです。だからぁーー私の方が、殿下に相応しいんです!」


どうしたらそういう結論になる。


レティシアが図書館で熱心に学んでいる時に、ルビィ嬢は遊んでいたというのに。


「ルビィ嬢」

「うるさい、あんたは黙って」


何かがプツンと切れた。


「レティシアは、未来の皇太子妃だ。皇室冒涜罪にもーー」

「ごめんなさぁい、わかりました」


全く、都合のいい。


「ルビィ嬢、あなたははっきり言って間違っている」

「は…?」

「自意識過剰にも程がある。だいたい、皇太子妃はあなたの言う「可愛い」だけじゃ務まらない」


将来一緒に国を治めること。

それに相応しいかということ。


「あなたは反省するべきだ」

「っ…!」


ルビィ嬢は、何も答えなかった。



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