第29話 決行、そして

◇◇◇


「綺麗です、ルビィ様」

「ありがとう♪」


可愛い夜着を着て、殿下の部屋へ行く。


「誰だ?入れ」

「お邪魔しまぁす」


最初の課題は突破!


「殿下、こんにちはぁ、ルビィですっ」

「…何しにきた」

「ふふ、殿下が疲れていると思って」


ああ、驚いてる。

そんな姿も愛おしい。


「…だからなんだ?」

「私がーー温めてあげますよ?」


ふふ、我ながらいい言葉だと思うわ。


「お疲れでしょうから、私に任せてーー」

「帰れ」


今までにない凍える声で彼は発した。


「な、なんでですかぁ?」

「はっきり言うがーーレティシア以外愛すことはない」

「っあの女の、何がいいんです?」


そう、何がいいの。


私の方が、ずっと優ってる。


「殿下、勘違いなさってます。あの女はぁ、殿下を騙すつもりですわ」


これくらい言わないと。


「…どういうことだ」


ほら、食いついた。


「殿下を騙して皇太子妃になり、殿下を殺して皇室を乗っ取るつもりですわ」


だから、私の方がいいのよ?

早く私の魅力に気づいてくれないかしら。


「私なら、そうはさせませんわーー」


彼の顔に手を当て、自らの顔を近づけてーー


バチン。


「え…」


手が叩かれ、驚いた隙に殿下は剣を私の首に当てる。


「馬鹿な真似をしてこれ以上私の邪魔をするな。そなたは今、皇族に嘘をついた皇室冒涜罪と侵入者として皇宮不法侵入罪に問われているのがわかっているのか?」

「そ、そんなぁ。私は、本当のことを言っただけなのにぃ…!」


最終手段。

可愛い私が涙を流せば、皆慰めてくれるからーー。


「はぁ。面倒だ。近衛兵、まだか。捕まえろ」

「はっ!」


え、嘘。


なんで?なんでーー。


「詳しくは、後で聞かせてもらう」

「い、いやああああ、待ってっ、助けてっ!殿下ぁあ」


最悪、なんでよ!

なんでーー


私の方が、相応しいのに………!!!






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