第27話 古代魔法

「勉強熱心だな」


図書館で本を読んでいると、彼はやってきてそう言った。


「いえ…。 勉強不足だなと思いまして」

「そうか?君は賢いが」


そう言われて嬉しくなる。


「ありがとうございます、でもまだまだ未熟です」


彼は少し首を傾げ、それから本を持って隣の席に座った。


「公務は終えられたのですか?」

「ああ、珍しく今日は少なかったからな」


さすが、と感心する。


アルフォンス様は幼い頃から麒麟児と名高く優秀だった。


でも、とふと思う。

そんな彼が、恋愛にうつつを抜かすだろうかーー?


いや、そういうものなのかもしれない。私が知らないだけで。


私は新しい本を探しに立ち上がる。


『古代魔法』と書かれた本を手に取り、席で開く。


読み進めていくうちに、一つの見出しに目を留めた。


『女神リディアの加護による古代魔法』


人々は、わずかだが一定の加護を受けていると聞く。

それは少しの差だが人によっても違い、多い人ほど悪魔に憑かれるのを防げるとか。


ただ、魔法は使えず昔存在したものを知ることしかできない。


パラパラとページをめくっていく。



『殺魔法』



初めて、聞く。

そんなもの、存在しなかったはずだが。


『逆行』


ーー逆行?

時間朔行のことだろうか。


それだったら、私のループと関係があるーー?


『植物由来』

『意思疎通』



様々なものを通り越して、ある一つの答えに辿り着く。


『混血法』


混血?

この場合、血を混ぜること、だという。



しかし。


「読め、ない…?」


なぜここだけ。


ページが真っ白で、その次からはまた違う章へと入る。

だから、ここに、書いてあるはずなのだ。


私はそこにしおりを挟んでまた棚に戻した。






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