第26話 凍氷の森
「わあ」
一面の冬景色に、感動する。
あの後、殿下はこう言ってくれた。
「…見せたいものがあるんです」
そして今日、連れていってもらったのは「凍氷の森」の湖だ。
冬になると、湖に氷が張って景色が映り、とても美しい景色が出来上がる。
「レティシア、そろそろ名前で呼びませんか」
さらに、殿下は私にとってすごく大変な提案をしてきた。
好きな人の名前を呼ぶって、どれほどの勇気がいると思って?
「…なら、アルフォンス様、敬語もやめにしてくださいませ」
冬なのに体が火照っている。
まあ、これくらいは許されるでしょーー
「え…!?」
殿下の方を見て、びっくりする。
私に対抗するほど耳まで顔が赤くなっている。
「わ、わかった…」
私たちは途端ギクシャクして、ジューク様や護衛の人は気まずそうにしている。
それでも、やはり「凍氷の森」は寒い。
私が寒そうにする仕草をするとーーふわ、と何かが私の肩にかけられる。
「で、殿下ーーじゃなくて、アルフォンス様、寒いのでは」
「大丈夫だ、慣れている」
アルフォンス様は上着を貸してくれた。
「アルフォンス様、ありがとうございます」
「ああ」
なんて、優しい瞳。
いつもは違う数多の令嬢に向けられていたその瞳で見つめられていると思うと、なんだか嬉しくなる。
その優しい瞳に、私は惹かれたのだけれど。
私はまだ、体が火照っている。
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