第25話 嫉妬に駆られて

ああ、なんでよ。


なんで、あの女は、殿下の隣に立っているの!?


「許さないっ」


夜会から帰って、私は家具を床に叩きつける。

ガシャ、と割れる。


あの場で、皆が褒め称えていた。


私の方が相応しいのに。私の方が、お金持ちで、可愛くてーーそれに、どうして?

同じ侯爵令嬢なのに!いいえ、あの女はもう子爵令嬢まで堕ちたじゃない!


「ルビィお嬢様、もう少し落ち着いてーー」

「うるさい、出てって!」


そもそも、なぜ殿下はあの女が好きなのかしら。

無表情で人形みたい!なのに、どうして?


彼女を見つめる目はーーとても、冷たい、私に向ける瞳とは全く異なっていた。


「ルビィ」

「お母様…」

「気持ちはわかるわ。いいこと?既成事実さえ作ってしまえば問題ないんだから」


本当、お母様ってば頭いい!


「あ、でも、お父様が…」

「あの人は今日から皇宮に出張なんですって。ついていけば?」


ああ、とってもいい案。

殿下も、私を見ればあの女なんて、どうでもいいに決まってるわ。


「お父様ぁ、私も行きたいです」

「そうか…いいだろう、くれぐれも失礼のないように」


お父様は私を溺愛してくださる。


欲しいもの、いらない人たちーーなんでも言うことを聞いてくれるの!


「さてと、準備しないと♪」


楽しみ。

あの女は、どんな顔をするかしら?


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