第24話 結果は

今日のこの場は、私が婚約破棄されるためにあるもの。


どうして、私の想いは届かないのーーまあでも、そのような努力はあまりしていないが。


「続いて、皇太子殿下のご挨拶です」


「皆さん、今夜はお集まりいただきーー」


これほど彼の言葉が耳に入らなかったことなどない。

毎回のループで彼への気持ちが膨らんでいっても、それでも覚悟を決めてこの挨拶はきちんと聞いていた。


「…そこで、皆さんにはご報告が」


ぎゅっと目を瞑る。

いつも、同じーーなのに、どうしてこんなに怖いの?


「レティシア、おいで」


ーーえ?


いつもは、「レティシア、前に出ろ」ーーそう言われていた、のに。

どうしてそんなに優しく微笑んでいるの?


「私たちは、正式に婚約をし、結婚の準備を進めて参ります」


えっ、と思わず愛しい人の顔を見る。

彼はにっこり笑って、私の肩に手を回す。


少しドキドキしてーー


「素晴らしい」

「お似合いですわ」


ーー嫌だ。


いつもは、「人形令嬢は釣り合わない」と婚約破棄に賛成する者ばかりだったのに。


あからさまな態度の差に、思わず不快感を感じる。


ーー気持ち悪い。


レティシア様、と皆寄ってくるのだ。

この人たちにはとても、厚意などーー。


「失礼します、婚約者の体調がよろしくないようで、一旦退席させていただきます」


察したのか、殿下が遮ってくれる。


私たちは、そのまま休憩室へと向かっていった。





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