第23話 皇太子の決意
数時間前。
「殿下。まだ考えてらっしゃるのですか。もう準備しませんと」
ジュークが私に声をかける。
だが、一向に決まらない。
ーー本当にレティシアを守れるのか?
ーー本当に婚約した方がいいのか?
あの黒いローブの男を気安く信じて良いのだろうかーー。
「信じられないの?」
考えると現れる仕組みなのか、彼はまた私の目の前に姿を見せた。
「レティシアはいつもと違う選択をして生き延びたでしょ?じゃあ、お前もそうするべきなんじゃないの?」
「…お前は何がしたい」
「え、それ聞くの?」
彼は少し考えてから、くくく、と笑い出した。
「お前たちの手助け」
「は?」
「いい?みんなが信じてる、女神リディア様から、だよ」
そう言って、再び去る。
全てを教えてはくれない、か。
女神リディアーーイライザ帝国の九割が信じる神で、イライザ建国時から国を救ってきたと考えられている。
彼の言うことを信じなければ女神リディアに逆らったことになる、と言っているのか。
上手い方法だ、と感心する。
とても女神リディアと関わっているとは思えないが、万が一の場合、背けば罰当たりだ。
それにーー私は、レティシアのことを何も知らない。
愛している、と言っておきながら知らぬことがたくさんあるのだ。
ならば、試してみるのもいいかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます