第18話 家族との過去

◆◆◆

三度目、だったか。

可愛げがない、さらには「私はあなたを愛せない」そう言って婚約破棄された後。


侯爵家にはいち早く婚約破棄の報告があったらしく、早々に追い出された。


貴族令嬢だから、生きる術も知らず、野垂れ死んだ。


ひどいのは、そのいくつか後のループで。

ありもしない国家反逆罪。そして、「私はあなたを愛せない」ーーそう言われて婚約破棄して、5番牢に放り込まれた。


5番牢は、死刑以外で最も重罪の人が行くところ。


「失望した」


父は言った。


「お前のせいで、愛するマーガレットと結婚できないではないか!どうしてくれるっ」


兄は私を踏んだり蹴ったり叩いたり。


「ねえ、レティシア?」


母が、1番恐ろしかった。


「好きにしていいと、言われているの」


鞭を持っていた。


殴られ叩かれ五感喪失まで陥りそうになった。

実際、味覚、視覚、嗅覚は失った。かろうじて、聴覚は生き残った。


ネズミの死体を放り込まれ、目の見えない私はたまにそれに触れてしまった。

その度に叫んでいたかもしれない。


「「「役立たず」」」


寒さと痛みに耐え切れず、それから私は半月も経たないうちに人生を終えた。


最後には、あの男がいた。


「かわいそうに。愚かな奴らのせいで…」


唯一労いの言葉をかけてもらった。


「それでも愛すのだろう?ーーなんと健気で残酷な」

「ある、ふぉんす、でん、か…」


男はくっと笑った。


◆◆◆

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