第18話 家族との過去
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三度目、だったか。
可愛げがない、さらには「私はあなたを愛せない」そう言って婚約破棄された後。
侯爵家にはいち早く婚約破棄の報告があったらしく、早々に追い出された。
貴族令嬢だから、生きる術も知らず、野垂れ死んだ。
ひどいのは、そのいくつか後のループで。
ありもしない国家反逆罪。そして、「私はあなたを愛せない」ーーそう言われて婚約破棄して、5番牢に放り込まれた。
5番牢は、死刑以外で最も重罪の人が行くところ。
「失望した」
父は言った。
「お前のせいで、愛するマーガレットと結婚できないではないか!どうしてくれるっ」
兄は私を踏んだり蹴ったり叩いたり。
「ねえ、レティシア?」
母が、1番恐ろしかった。
「好きにしていいと、言われているの」
鞭を持っていた。
殴られ叩かれ五感喪失まで陥りそうになった。
実際、味覚、視覚、嗅覚は失った。かろうじて、聴覚は生き残った。
ネズミの死体を放り込まれ、目の見えない私はたまにそれに触れてしまった。
その度に叫んでいたかもしれない。
「「「役立たず」」」
寒さと痛みに耐え切れず、それから私は半月も経たないうちに人生を終えた。
最後には、あの男がいた。
「かわいそうに。愚かな奴らのせいで…」
唯一労いの言葉をかけてもらった。
「それでも愛すのだろう?ーーなんと健気で残酷な」
「ある、ふぉんす、でん、か…」
男はくっと笑った。
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