第17話 家族との再会

「殿下、私帰ったほうがよろしいでしょう?」


本当は帰りたくない。

しかし、殿下はなぜか許さなかった。


「帰るのは許可しません。また逃げるでしょう、しかも…」

「?」

「いえ、なんでもありません。ですから、訪問という形であれば…」


なるほど、逃亡を恐れているのね。


「わかりました、では訪問します」


皇宮は退屈なのだ。

けれど、とふと思う。


家族は怒り狂っているはずだ。


なら、私はどんな叱責を受けるだろう?


そこで、私は殿下に頼み、護衛をつけてもらうことにしたのだが。


「私も行きましょう」


どうしてこうなるんですの!?



「これはこれは、殿下。それに愛娘を見つけてくださりありがとうございます」


愛娘…ね。


あの時は散々な形で追い出したくせに。


「申し訳ございませんでした、お父様」

「いいや、大丈夫。そんなこともある」


これはーーあとでどれほど叱責されるかな。


「まあっ、レティシアじゃないの!良かったわ、さあ、上がって?紅茶を淹れたのよ」

「良かった、心配したんだよ。怖かっただろう」


兄が頭を撫でる。ーー気持ち悪い。


母も兄も、白々しい。


殿下が家族で積もる話もあるでしょうと席を外した途端ーー。


「お前、何してるの?」


叱責を受ける。

けれど、それが尋常じゃないことは、よく知っているーー。


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