第7話 皇太子の任務
「殿下、報告が」
従者であるジュークが持ってきた情報は、どうやらラドン街郊外で賊が出た、ということだった。
「被害の数は?」
「それが…今回は、山賊と違い、縄張りを持っていないようで」
つまり、縄張りがないから人への被害が大きいということだ。
私は皇太子親衛隊を動員させ、すぐに被災地に向かうことにした。
◇◇◇
「おいおい、聞いたか?」
「ああ、賊が出たんだってな」
偶然通りかかった酒屋で聞いた情報を、もう少し詳しく聞きたいと思い酒屋に入った。
「かわいー嬢ちゃんだな、珍しい」
「さきほど話されていた情報は、どこで?」
「ラドン街郊外だとよ」
ラドン街郊外。それは…
ソフィアさんが住んでいるところだ!
無事だろうか。
行かない方がいいかもしれない。
けれど、恩を仇で返す真似はしたくない。
向かうとソフィアたち住民は皆避難させられていた。
「ソフィアさん!」
「アナ、来てくれたのね」
良かった。
安堵した時にーー私はある人を見つける。
ーーなぜ、あなたが。
◇◇◇
「重症の者から治療にあたれ」
一通り終えて、もちろんジュークが賊も捕まえてくれた。
「ソフィアさん!」
「アナ、来てくれたのね」
街の人の再会、無事を確かめ合う人々を見つめながらーー青い瞳の少女を見つける。
吸い込まれそうな、大きくて綺麗な瞳ーー。
それは、レティシアを想起させた。
まさか…
いいや、期待してはいけない。
期待してしまえば、見つけたとなれば、彼女の悲しみの原因になるから。
大切な人に、愛しい人にそんなことは、本当はしたくないのだ。
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