第3話 逃亡の計画

部屋に帰って考える。


そろそろ疲れてきたのだが、あと何度このループを辿ればいいのだろう。


そろそろ、生き延びたい気もする。


「アンナ。屋敷周辺の地図を持ってきてくれない?」

「はい、かしこまりました」


地図を広げる。


庭から逃げれば、通路があるはずだ。そこまでは、多分難なく行けるだろう。

問題は、そこから。周辺で見つかった場合、兵に連れ戻され叱責を受けるのが目に見えている。


一か八か、試す価値はあるだろう。


「アンナ、売れるものは全て売るわよ!」


逃亡資金のため、私が生き延びるため!


節約など、侯爵令嬢にとても似合わないが、ドレスや宝石を最低限売るだけで、沢山の金貨が手に入った。


「どこに行こうかしら…そうだ、ラドン街は?」


ラドン街は、服織りが伝統的だ。

貴族がこぞって買いに来るほどで、もちろん織るだけでなく売る人も必要。

だが、貴族相手に対応出来る平民が少なく、売る職業の人が減っていると聞いた。

私なら、バレなければ上手くやれるかもしれない。


四ヶ月後。


「よし、書けた」


手紙を机に置いて、私は今宵、出発する。


今日は見張りの兵が交代する時間がいつもと違うらしいから、そこで少し寝過ごす兵がいるらしい。


お願い、寝過ごしてください、見張りの兵たち。


私はカーテンをふたつ繋げて窓に下ろした。

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