第101話 イェリアナの出産
旧ハルザンドの王宮ではイェリアナの他にもアゼルヴェードの子を
イェリアナがアゼルヴェードの子供を出産したのは、マリリアがジュードに
「無事に出産できた様だな。だが紋章が子に引き継がれなかったのは残念だ。」
「紋章の精霊は私の魂に結び付いていると聞いた事があります。ご期待に添えず申し訳ございません。」
「問題ない、当面は子育てに専念してくれ。」
そう応えながらアゼルヴェードは頭の中で別の事を考えていた。産まれた子供が自分の神性を引き継がない事は北で産まれた子供達を見て分かっている。紋章だけであれば、自分が森人族の神を取り込んだ様に、成長した子供にイェリアナを取り込ませれば引き継げるかも知れない。しかし紋章だけでは今のイェリアナと同じ様に神装具とやらを使う事は出来ないだろう。結局は北の神を封じた精霊石を与えねばならない。
アゼルヴェードはイェリアナを獣人兵に変え、そのイェリアナを子供に取り込ませる事にした。紋章が引き継がれない可能性はあるが、その時は神性のない獣人兵として戦わせるか、イェリアナが持っている精霊石を与えて神性を持たせれば良い。
数ヶ月後、イェリアナは山羊の獣人兵へと変わっていた。馬ほどの大きな山羊の体と四肢、その上にイェリアナの上半身が乗っている。頭には山羊の角が生えている。イェリアナは術式台の上に拘束されたままの状態でアゼルヴェードを見上げていた。アゼルヴェードの横には北から連れて来たアゼルヴェードの子供がいた。イェリアナとの子供とは違って人間の大人ほどの大きさに成長している。
「アゼルヴェード様、新しい体を与えて下さりありがとうございます。これで今まで以上に戦えます。」
そう感謝を述べたイェリアナには反応せず、アゼルヴェードは無造作にイェリアナの胸にあった精霊石のペンダントをもぎ取った。すると徐々にイェリアナに対する精神支配が解け始める。それに伴ってイェリアナはこれまで自分が犯してきた過ちに気付き、罪の意識に
「あぁ、ジュード、マリリア、シルリラ...4人でいたあの頃に戻りたい。」
いくら暴れても無駄だと諦めて動かなくなったイェリアナをアゼルヴェードの子供が足元から取り込み始める。ゆっくり、ゆっくりと。その長い時間、イェリアナは後悔の念に
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