第59話 ひと休み:マリリアとネコ

最近のミケはジュードよりマリリアといる事の方が多くなっていた。ミケはマリリアが読んでくれる本、実は児童向けの絵本なのだが、それが面白かったし、マリリアは英雄王ジークや聖者シンシア、それとジュードの事を聞きたがった。この日もマリリアとミケはかつての魔人との戦いについて話していた。


「ミケは実体がないから触れないのよね。とっても残念だわ。」


「それが魔に囚われていた時にシンシアは僕を手で掴んだんだよ。」


「えっ、シンシア様はミケに触れたの? 私にも出来るかしら?」


「どうかな、シンシアとマリリアは同じ聖者だし、出来るかも」


「やってみたい‼︎」


マリリアは聖者の紋章を光らせながらそっとミケに触れてみた。少しあやふやだが、何かに触れている感触がある。微かな温もりも感じられた。しかし少しでも気を抜くとその感触は消えてしまった。


「キャー、ミケを触れるわ。」


その日はそれからマリリアがミケを追い回した。ミケは逃げるがマリリアは諦めない。


「やめろよ、後でどうなっても知らないぞ。」


「大丈夫よ、ちょっと抱かせて貰うだけだから。」


マリリアがミケを追い回していた日の夕方、マリリアはソファーの上で動けなくなっていた。そのマリリアの上でミケがフラフラと飛んでいる。


「だから言ったじゃないか、どうなっても知らないぞって。」


「も、紋章の力って...すごく...疲れるのね。」

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