第7話:ウブなひと〜・・・ご主人様。

「一ヶ月したら、君は天界に帰っちゃうからね・・・そのことを考えると切なくて」

「胸が苦しくなっちゃう・・・泣きたいくらい・・・」


「・・・・ご主人様ったら・・・」


そう言うとメイサちゃんは僕のところに来て優しくハグしてくれた。


「私たち始まったばかりなのに、もうそんなこと考えてるの?」


「そりゃ、まだ君が来て半日しか経ってないけど、その短い時間に僕は完全に

メイサちゃに恋しちゃってるからね」

「恋が始まっちゃった時点で喜びも切なさもついてくるだろ?」


「そんなこと言われちゃうと帰れなくなっちゃうじゃないですか?」

「私は天使だからね・・・いつかは天界へ帰らなくちゃいけないから」


「帰らないで欲しい・・・ずっとここで僕と暮らせない?」


「私、レンタル天使のバイトが終わったら、また学生生活が待ってるから」

「無理言わないの・・・もう先のことは考えないで?ご主人様」

「せっかくこれから私とご主人様、うまくやっていけるって喜んでたんですよ」

「まだ一ヶ月もあるんですから、楽しみましょ?」


「そのために女子高生になってあげたんですから・・・」


「分かった・・・なるべく一ヶ月後のことは考えないようにするよ」


「うん、楽しまなくちゃね」


「でね・・・さっきからずっと気になってるんだけど・・・メイサちゃんの

その自前のセーラー服って普段からそんなにスカート短いの?・・・そのまま

でもパンツ見えてるけど・・・」


「これもご主人様のためです・・・パンツ見るとテンション上がっちゃうでしょ?」

「見えてもいいような可愛いパンツ履いてるからね、好きなだけ見ていいよ」

「それもご奉仕、ご奉仕」


「いや〜そんなにジロジロ見れないよ、僕の方が恥ずかしいから・・・」


「うっそ〜・・・ウブなひと〜・・・ご主人様」


男心をくすぐるコツをよく知ってる天使だよ、まだ未成年だってのにどこで

そんなテク身につけたのかな?。

人間にとって天使ってそういう存在?


あ、僕の考えも人間の常識も天使には通用しないんだ。


「あの〜でさ、もうひとつ気になってることがあるんだけど・・・」


「次はなんですか?」


「天使って頭の輪っかや背中に羽とかってないの?」


「頭の輪っかは、天使じゃなくて、亡くなった人がつけるんです、頭の輪っかは

この人亡くなってるよ〜って印です」

「それと背中の羽ね・・・天使って背中に羽がついてるってみんな思ってる

でしょ?」

「それは誰かが勝手にイメージしただけだよ」


「実際には羽なんか生えてないんだよ・・・」

「考えてみて?たとえば私が空を飛ぶためにどのくらいの大きさの羽が必要って

思いますか?」

「生物学的に言ってバカみたいに大きな羽が必要になってくるでしょ?」

「ありえないから・・・それにそんなの邪魔になって服だって着れないし・・・」


「あと、もし背中に羽なんか生えてたら羽が邪魔になって仰向けで眠れないでしょ?」

「一生、うつぶせで寝なきゃいけないよね」

「それって進化的にも生理学的にもありえないことでしょ?」


「あるほど〜納得」


昔の絵画なんか見たら天使はみんな羽が生えてるけどね・・・あれってフェイク

なんだ。

まあ、昔の伝承や言い伝えは、なにかを正当化するために誰かが都合よく考え

出したことなんだろうから事実とは異なるんだろうな。


「あとね・・・これは一番大事なことなんだけど、もし私がご主人様とエッチする

ことになったら、羽が邪魔でエッチなんかちゃんとできないでしょ?」

「それが一番の問題よね」


僕は羽が生えたメイサちゃんとエッチしてるところを相続した。


「ああ・・・無理っぽそう」

「やってやれないこともなさそうだけど・・・羽は生えてないほうがよかった

って、つくずく思うね」


つづく。





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