第45話 最終決戦!ほどけるビキニの紐★

夢の国の象徴たるお城の下で、蓮司たちは激しい戦いを繰り広げていた。

向かってくる千葉をふたりがかりで押し返そうとするのだが、一向に止まる気配がない。


「よっと!」


千葉は軽快に叫ぶと、蓮司の目の前で小田切の背中に剣を振り下ろした。

おもちゃなのでもちろん切れないが、それでもずっしりと重いダメージが入っているように見える。


「…ぐっ! 蓮司、ここは任せろ! お前は楠本さんを!」

「わかった!」


ふたりでも食い止められないことがわかったので、並行して茉莉を狙うことにする。

こちらの方が数的有利なので、千葉と茉莉の両方を狙うことができる。

小田切が突破される前に、蓮司が茉莉の水着を剥ぎ取れれば、それで決着がつくのだ。


「楠本さん! 悪いようにはしないから、おとなしく捕まってくれ。」


蓮司は茉莉の前に立ちはだかる。

しかし彼女は余裕の表情で、ふっと笑った。


「優しいのね、あの子が惹かれるのもわかる。でも、心配はいらないわ!」


その言葉どおり、茉莉は俊敏な動きで蓮司の攻撃をかわしていく。

まるでダンスでも踊ってるかのように、軽快にステップを踏み、柔軟に体を曲げて傘を避ける様子は、常人の動きとは思えない。

トップアイドルとは、非凡な運動神経を持ち合わせているのだと知る。


「くそ…!」


蓮司は苦戦しながらも、目では大きく揺れる茉莉のおっぱいを追っていた。

彼女がこんなに胸が大きいなんて、今まで全然知らなかった。

普段の制服姿でももっと細く見えていたし、これまでのゲームでも彼女は露出に関して鉄壁で、下着姿すら晒していないのだから当然だろう。


そして蓮司は下半身の、三角形のビキニにも視線を移す。

布面積はほとんど下着と同じだから、実質パンツを見たと言っても良いのではないだろうか。

国民的アイドルのこんな姿、もう二度とは見られないだろう。

観衆の男子たちも、鼻の下を伸ばしながら茉莉のビキニに見惚れていた。


「蓮司! 手を貸してくれ!」


茉莉を追いかけていた蓮司の耳に、小田切のSOSが届いた。

振り返ると、千葉の猛攻に小田切が尻餅をついている。


「大丈夫か!?」


蓮司は千葉の背中側から飛びかかると、傘を思いっきり振り下ろす。

しかし、奴は後ろにも目がついてるかのようにそれをかわし、振り向きざまに剣を蓮司の顔面に叩き込んだ。


「ぐああ!」


鼻の内側が切れる感覚があり、少し血の匂いがした。

千葉はそのまま、まるでサッカーボールを蹴るかのように蓮司の鳩尾を蹴り上げる。


「ぐ…!」


鋭い痛みに苦悶の声が漏れる。

蓮司は後ろに吹き飛びながら、千葉の強さの理由を痛感した。

身体能力の高さだけではない。

この男、一切の容赦がないのである。

普通なら、クラスメイトを攻撃したり、女子生徒の水着を剥ぎ取ろうとしたりすると、罪悪感というか、良心の呵責があるものだ。

それが動きを鈍らせる。

蓮司のように覚悟を決めていても、相手の嫌がる顔なんかを見ると、やっぱりどこかでストッパーのようなものがかかっている感覚があった。


しかし、千葉にはそういうものが全くないのだ。

下手したら大怪我になりかねないような攻撃でも、迷いなく撃ち込んでくる。

それは、おそらく奴が生粋の、馬鹿であるからだと思われる。

相手の気持ちだとか、この先どうなるかだとかの余計なことは全く考えず、考えられず、ただ水着を剥ぎ取れば勝ち、というルールを遂行するだけ。

邪魔してくる男子生徒は最も効率良い手段で排除をする。


つまるところ、馬鹿ゆえに加減を知らないから強い、ということだ。

このゲームにおいて容赦がないということは、他にはない圧倒的な武器になるのだ。


「うわあああ!」


今度は小田切が吹き飛ばされ、ごろごろと蓮司の前に転がってくる。

目元の辺りがぱっくりと割れ、頬に一筋の血が滴っていた。

心配そうな美咲と葵が駆け寄ってきたので、図らずも4人が同じところに集まることになる。


「くそ、どうする? このままじゃ押し負けるぞ!」


小田切の言うとおりだった。

千葉を相手にすれば、たとえ2対1であっても圧倒されてしまう。

茉莉を狙ったとしても、彼女も彼女で一筋縄ではいかないため、手間取っているうちに千葉が残る味方を蹂躙することになる。

こっちのほうが人数が多いのに、戦力的には負けている状態なのだ。


「正面から戦っても勝ち目が薄い。それなら、いっそのこと――。」


蓮司は小さな声で、考えていた作戦を話した。

その内容に、美咲はあっ、と驚いた顔をする。

葵も不安そうに、キョロキョロと周囲を見渡している。

小田切は――、ニヤリと口元を歪め、不敵な笑みを浮かべていた。


「へっ、おもしろいこと考えるじゃねえか。」


小田切は顔の血を拭うと、膝をついて立ち上がる。

そうしている間にも、千葉がケラケラと笑いながらこちらに近づいてきていた。


「いいか、この作戦は4人の連携が重要だ。一歩間違えたらこっちが危なくなる。互いの状況をよく見て、コミュニケーションをとることが大切だ。」


蓮司が短く最小限の指示を出す。

全員が頷いたのを確認した蓮司も、立ち上がって千葉に相対した。


「小田切、準備ができたら合図してくれるか?」

「わかったよ。そっちこそしくじるなよ、蓮司。」


小田切はそう言うと、ばっと駆け出して茉莉を狙い始めた。

葵がその後ろを、心配そうについていく。

そして、ちょうど両者の間くらいの位置で撒菱を取り出してばら撒いた。

これで蓮司と美咲と千葉、小田切と葵と茉莉が、それぞれ分断される形になる。


「たったひとりで戦うつもり? 馬鹿なんじゃないの?」


千葉は狂気じみた笑みを浮かべながら、猛然と蓮司に襲いかかった。

手にした剣と得意の足技で、目にも止まらぬ攻撃を繰り出してくる。

蓮司も可能な限り傘で防御するが、そのほとんどは有効打として体にダメージが蓄積されていく。

もはや勝負と言うよりは、蓮司が一方的にボコボコにされている状態だ。

その悲惨さに、観戦するクラスメイトもざわざわと騒ぎ始める。


「立花くん!」

「古川さん、来ちゃダメだ!」


心配する美咲に、蓮司はぴしゃりと言い放った。

蓮司が倒れれば、美咲のおっぱいが晒されるのだ。

絶対に負けられない。

蓮司はもはや気力だけで、千葉の攻撃に耐え続けていた。


「邪魔なんだよ! 道を開けろ!」


千葉が蓮司の右肘へ的確に剣を振り抜いた。

びん、と神経が痺れ、手にした傘が地面に落下する。

拾おうと屈んだ瞬間に、顔面に目掛けて膝蹴りが飛んできて、おでこに強打した。


「いっ…!」


悶絶する蓮司の横を、千葉が素早くすり抜ける。

美咲の目の前に迫った千葉は、舌舐めずりをしながら手袋をした手を伸ばした。


「まずは…ここからだ!」


千葉の手は、美咲のビキニのブラ、ではなくパンツの方へと伸びていき、右側の紐を思い切り引っ張った。

あっけなく結び目が解け、観衆から歓喜の声があがる。


「い、いやああああああああ!」


美咲は悲鳴をあげながら、前後から両手で水着を抑えつける。

何とか布地は彼女の体を隠しているが、片方の紐はだらりと垂れ下がったままだった。


「な…! そっちは勝負に関係ないだろ!」


蓮司は額を抑えながら叫んだ。

しかし千葉は振り返りもせずに答える。


「だって、ブラを外したら敗退だから、追撃できないじゃないか。先にパンツを剥ぎ取らないとね。」


その口ぶりに、蓮司は確信する。

この男、今までも女の子のパンツまで剥ぎ取ってきたに違いない。

多くの女子たちが丸裸にされていたと思うと、とんでもないことである。


「さあ、こっちも解くぞ!」

「だめ!! 来ないで!!」


美咲は水着を抑えながら必死に後退するが、すぐに壁際に追い込まれてしまった。

ぴたりと背中を壁につけ、恐怖の表情を浮かべる美咲に、千葉の魔の手が伸びる。

左の紐も簡単に解かれると、ビキニのパンツは美咲の手で抑えられているだけになった。


「ほら、手を離して!」

「だめええええええ!」


千葉が紐を掴んだまま、ぐいぐいと手前に引っ張っている。

美咲も抵抗するが、男の力には到底敵うわけがなかった。


「や、やめろー!!」


ようやく傘を拾った蓮司が突進するが、ひょいと足をかけられてまた転倒する。

美咲の真横に突っ伏した蓮司は、顔だけあげてふたりの様子を確認した。


パンツの布地はどんどんと美咲の体から離れ、ついにその指先から滑り出る。

完全にパンツを手にした千葉は、嬉しそうにそれを頭上に掲げた。


「まず1枚! あとは…。」


千葉はそう言いながら美咲の体を確認し――驚いたように目を丸くする。

美咲の下半身は、予想外の状態になっていたのだ。


「うう…。返して…。」


涙目で訴える美咲の両手は自身の局部へと伸びている。

そしてその手には、ずっと被っていたカウボーイの帽子を持ち、ギリギリで大切な部分を隠していた。

千葉がパンツを剥ぎ取る瞬間、後ろに回していた左手を使って、帽子を下半身に持っていったのだ。

当然後ろは無防備になるので、クラスメイトたちがいる方には見えないよう、絶妙に体の角度を調整している。

しかし、彼女にはひとつだけ、誤算があった。


「う、うわあああ!」


観衆に後ろ姿を見せないように体を動かした結果、地面に横たわる蓮司の目の前にその美しいお尻が晒されていた。

突然の光景に、蓮司は間抜けな声をあげてその部分を凝視する。


『これが、古川さんのお尻…。』


真っ白い肌に、黄金比のように均整のとれた曲線美は、惚れ惚れするほどに完璧なお尻である。

まさにぷりん、という擬音でしか表現できないほど、張りと柔らかさを兼ね備えたそれは、可愛くもあり、またとてもエッチであった。


「やだ! 立花くん見ないで!!」


自分の痴態に気づいた美咲は、みるみる顔が赤くなっていく。

蓮司のことを差し引いても、クラス全員の前で帽子で股間を隠す状態は、相当に恥ずかしいはずだった。


「うーん、焦らすねぇ。でも、そのままじゃおっぱいは隠せないよ?」


千葉はパンツを後ろに放り投げ、剣を床に置くと、さっと動いて美咲に接近する。

驚く美咲の顔を至近距離から眺めると、手袋をした手で美咲の右手を掴んだ。


「い、いや!」


千葉は美咲の右手を力づくで持ち上げる。

帽子は左手で抑えているからまだ何とかなっているが、これでは右手は自由がきかない状態だ。

そして、千葉は空いたほうの手で、美咲の首の後ろに結ばれた、ビキニの紐を解いていく。


「!! やめて!!」


美咲が叫ぶのと同時に結び目がほどけた。

背中の紐はまだ結ばれたままだが、支えを失った首の紐は徐々に落下を始める。


それはまず彼女の首の付け根に着地したかと思うと、重力に引かれてあっという間にずり落ちていく。

紐の先端が美咲の胸の膨らみに差し掛かり、彼女の大切な部分を覆うカップを引き連れてさらに下へと向かっていく。

何かで抑えなければ、間違えなくおっぱいが飛び出してしまうだろう。

しかし、美咲にはそれが出来なかった。

右手は掴まれ、左手もまた、大切な場所を隠しているからだ。


「ああ、だめ! だめぇ!!」

「さあどうする? おっぱいとおまんこ、どっちを隠す?」


ニヤリと笑う千葉の後ろから、クラス中の男子生徒が、固唾を飲んでその様子を見守っていた。

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