あとがき––エピローグ (終)

以上三つの話が、私の恋愛経験です。

面白みのかけらもない話を三つも読んでくださり、ありがとうございました。


読んで下さった方々に対して図々しいですが、まず二つだけお願いを。


まず一つ。

私が今まで付き合ったのは女性ですし、付き合い始めた理由も相手からの告白と空気という理由からでしたが、あくまで多くの人が異性に対してそうであるように、私にも好みがあります。女性であれば誰でも良いというわけではないのです。


稀に、同性愛者は同性であれば誰でも良いと思っているのか?と思うような描写をされる事があります。それは、それだけは本当にやめて欲しいのです。

もしそのようなイメージが根付いて仕舞えば、カミングアウトが出来なくなってしまいます。偏見に晒される事は、誰だって避けたいのですから。


もう一つ。

カミングアウトするというのは中々難易度が高い行為です。

学校や会社などに所属している時などは、下手するとイジメに会う可能性があるので特に。同性の友人にカミングアウトする時など、本当に緊張します。

今までの関係が全て崩れてしまうのでないか、と。


もし貴方が誰かにカミングアウトされる事があれば、

「この人は私のことを信頼して、その上で勇気を出してカミングアウトしたんだな」

という事を、ほんの少しでも良いので覚えていて下さい。


どうか、よろしくお願いします。


そして、二度目になりますがこれはあくまで、「個人の話」ですので、全ての同性愛者の方々、異性愛者の方々に当てはまる訳ではありません。


両思いになって大切な人と共に幸せになっている同性愛者の方々も勿論いらっしゃいますし、私がつい最近レズビアンだとカミングアウトした親友のように理解を示して今までと変わらずに接してくれる異性愛者の方々もいらっしゃいます。


その事を踏まえた上で、これよりも先の話を読んで下さい。


初恋を除くと、私がフラれたのは二回。

その両方で「やっぱり異性の方がいい」と言われました。

「同性と付き合って、幸せになれるとは思えない」とも。


『同性が好き』というだけで、私は「幸せになれない」と言われたのです。

愕然としました。


「気持ち悪い」という言葉が、ずっと頭から離れてくれません。


「大好き」と言ってくれた人に、「君は幸せになれないと思うよ」というような言葉を言われた事は、心に刻み込まれています。


きっとこれらの言葉は、一生忘れる事がないでしょう。

正直私は、もう恋愛はいいかなと思っています。


そして、前話でも言った通り私は自分の恋愛対象が女性である事、誰かと付き合ったという事や勿論別れたという事も家族に話した事がありません。

先ほど話したように、つい最近親友に初めて話したくらいです。


親友以外にカミングアウトする気はありませんし、もし私のこのアカウントを知っている知人に知られる事やその人から家族に漏れてしまう事があれば、それはそれで仕方ないとは思うものの、出来れば一生隠したいと考えています。


それでも、知られる危険性を理解した上でこれを投稿したのは私自身が限界だったからです。人が、一人で持てる荷物事情の量には限界があります。


誰かに少し手伝ってもらわないと、前に進めない時もあるのです。

他の誰かも同様に荷物を持っていると知らないと、絶望してしまう事もあるのです。


親友にメールで誤爆して同性愛者である事がバレたこの機会に、自分の記憶を整理して受け入れようと思って、そして同じ荷物を持っている“誰か”がこれを読んで少しでも安心してくれれば嬉しいと思ってこれを投稿しました。


この自己満足の為に書かれた身勝手な作品を読んで下さった皆様は、どのように思われたでしょう?何を考えられたでしょう?


私にそれを知ることは出来ませんし、どう受け止めろと強制することも出来ません。


ですが……この作品が少しでも皆様の、貴方の。

世界を広げるきっかけになっていれば、それ以上の幸せはないと思っております。


ここまでお付き合いいただき、感激です。

本当にありがとうございました。


                                 風宮 翠霞



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