第5話 ☆マイナス事件

 前回から、PV515と☆-3個を獲得できた。

 現在あるのは、☆67個と939リワード。


 ☆マイナス事件について話そう。

 朝起きて、やることがないのでカクカクを見てたら、突然☆が21個も減った。

 ショックで放心状態になったが、こう考えることにした。

 この小説を好きで好きでたまらない人が、つい不正をしてしまった。

 そして運営にばれた。

 いくら好きでも不正は良くない。


 5つもらったコメントは☆が減ったことに対する物が多い。

 頑張るよ。

 励ましありがとう。

 こんな苦難には負けない。

 とりあえず頑張って溜めて☆100スキルを買う。


 デシーラに会いに行くのにとびきり美味いパン6つと具沢山スープを買った。

 これだけ買えば十分だろう。

 デシーラの檻は屋外ではなくて屋根がある場所の下にあった。

 半分野ざらしみたいだけど雨が掛からなくてほっとしている。


「誰?」

「ケンジだよ」

「あの髪の毛ボサボサの」

「ああ、親切な人に切ってもらった。パンを買ってきた。一緒に食べよう」

「なんでこんなことをしてくれるの私奴隷よ」

「知ってる。でも俺と同じ人間だ。優しい心を持った人間だ。あの時、水とパンを貰わなかったら死んでたかも知れない。お礼だと思って食べてくれ」

「ええ、頂くわ」


 デシーラはお腹が空いていたのか、パン3つをペロリと平らげた。


「デシーラの事情を聞かせてくれる?」

「話したらどうなるの。何にもならない。同情は要らないわ」

「いくら必要なんだ」

「あなた1日前までは無一文だったじゃない。きっと払えないわ」

「俺は1日で、食費とか抜いて800イールも稼いだ。これでもまだ足りないのか?」


 今日の差し入れの金額を抜いて、残りのリワードは858だ。


「私の借金は10万イール。体の傷はモンスターにやられたの。その治療費が払えなくって奴隷落ちってわけ」


 10万イールは100万円相当か。

 大手術ならありえる金額だ。

 実際はもっと掛かったんだろうな。

 デシーラと、親とか、親戚がありったけ出したはずだ。


 100万円ぐらいなら、家族や親戚が働けば、稼げるお金のはずだ。

 ただ、これから結婚もできないし、働けないデシーラを養うのは大変なんだろうな。

 そう考えると何とも言えない。


「大変だったな」


 平凡な言葉しか言えない。


「あなたに言われても気休めにすらならないわ。帰って。もう来ないで」

「怒ることないだろう」


 諦めて冷めた目のデシーラ。

 この瞳に希望の光を灯してやりたい。

 きっと俺に買われても幸せになれないって諦めているんだろうな。


 10万を858で割ると117だ。

 デシーラを解放できるとしたら117日後になる計算。

 117日経つまでにデシーラが売られてしまう可能性もある。

 できるだけ早くリワードを獲得しないと。

 デシーラへの差し入れはともかく、普段は節約しないとな。


 それと傷を治してやりたい。

 完全回復スキルの横のⓘを押して説明を見る。


――――――――――――――――――――――――

 あらゆる病気と怪我が治ります。

 欠損も例外ではありません。

――――――――――――――――――――――――


 ☆1000個溜めないと。

 そして10万イールだ。


 それには面白いことを書かないと。

 気を取り直してデシーラとのハッピーエンドでも書くか。


「【カクカク】」


 空想の話を書き始めた。


「お前の買い手が現れたぞ。貴族のシギャック伯爵だ」


 でっぷり太った奴隷商人がニタリと笑いながらそんなことを言った。


「そんな。あんな変態に売るなんて酷い」


 シギャックは変態なのかそれは許せんな。


「そんなことは俺が許さない。嗜虐趣味の変態なんかに買わせるものか。読者よ力を。あと少しなんだよ」


 俺、登場。

 俺の呼びかけに10万イールが貯まる。


「【カクカク】、リワード。ほら、これで文句はないだろう」


 俺は獲得した大金貨1枚を奴隷商人の顔に投げつけた。


「くっ、覚えていろよ。そんな化け物みたいな女、どうせ幸せにはなれない」

「化け物なんて言うな。【剛力】」


 俺は奴隷商人を殴った。


「ぐがっ。用心棒の先生、頼みます」

「おう、ボコボコにするので勘弁してやる」

「久しぶりのサンドバッグだな」

「腕が鳴るぜ」


「【水魔法】」


「ぐぼぼ」

「ぐわっ口と鼻に水が」

「ぐっ」


 用心棒たち3人は水魔法で窒息した。


「くそっ。デシーラ、この男に捨てられたら、泣きついてこい。シギャック伯爵を世話してやろう」


 まだ言うか。


「みんな☆をくれ。☆が必要なんだ」


 どんどん溜まる☆。

 やった☆の残りが1000を超えた。


「【カクカク】、スキル購入。【完全回復】。デシーラ、ほら鏡を見てごらん」

「嫌よ。醜い顔なんて見たくないわ」

「じゃあ、俺の瞳を見つめると良い。それなら出来るだろう」


「えっ、嘘。火傷の跡がない。そう言えば両目で見ている。手の指が揃って、足も生えているわ。こんなことって」


「あなた様は聖人様でしたか。今までの失礼な態度を許して下さい。聖人様がデシーラを連れていったと言えば、シギャック伯爵も手は出せないでしょう」


 奴隷商人がへりくだった態度を取る。

 完全回復スキル持ちは聖人なのか。


「デシーラ、君は自由だ。その生えた足でどこへでも行っていい」

「私は貴方のそばにずっといるわ。お邪魔じゃなければね」

「邪魔なんていうものか。鏡を見てみろ。君は美しい」

「お世辞が上手いのね」

「お世辞ではないさ」


 抱き合ってキスする二人。


―パッピーエンド完―


 こんな感じになったらなぁ。

 この小説をデシーラが読めないのが幸いだ。

 デシーラに読まれたら恥ずかしくて穴に入りたいと思うだろう。

 でもこれぐらい大げさに書かないと、読者に反応して貰えない。


 何か大きなことを成し遂げるまではデシーラには会わない。

 そう決めた。


 さあ、忙しくなるぞ。

 何かしないことには読者の興味を惹けない。

 冒険者にでもなってみるか。

 報酬は受け取れないが、小説のネタになる。


――――――――――――――――――――――――

今回のスキルと☆:

 獲得スキル、なし

 ☆残り67個


今回の収支:

 収入

 515リワード


 支出

 差し入れ、大銅貨8枚と、銅貨1枚、81イール。


 残金

 858リワード


次の分岐:


 強盗が現れる。

 ☆が100個以上あれば怪我をしない。

 未満だと怪我をする


すこし未来の分岐:


 15話までに大きなことをする。デシーラが一緒に喜んでくれて怒りも解ける。

 できなければ、デシーラが口をきいてくれなくなる。


かなり未来の分岐:


 48話までに10万リワード貯めるとハッピーエンド

 未満だとバッドエンド。


ステータス:


名前:健司・金子

レベル:1

魔力:5/5

スキル:

 カクカク[ ]ⓘ

 点火ⓘ

 剛力ⓘ

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