第二章 神宮家本邸
第7話 里帰り
―――2025年3月29日(土)
昨晩、母さんの一言で強制的に閉会した家族会議。
いくら質問しても何も答えてはくれず、早く寝るようにとだけしか答えてくれなかった。
母さんは部屋に戻った後、どこかへ電話をかけていた。
これまでの転々とする生活もあり、この里帰りが日帰りなのか、それとも夜逃げを意味する里帰りなのかすら、俺には判断がつかない状況だ。
激動の二日間。昨夜もほとんど眠ることができないまま迎えた三日目。
太陽も顔を出していない朝四時、ウトウトし始めていた頃に叩き起こされ、車のキー片手に昨日の封筒を忘れずに持ってきなさいとだけ伝えて行ってしまった。
正直、とても恐怖している。明日の今頃、自分がどこで何をしているのか想像がつかない。それどころか、半日後の自分が無事でいられるのかすら分からない。
改めて考えてみれば、進学せずに家業に専念すると決意したはずの息子が早々に名も知らぬ女にうつつを抜かし、やっぱり進学したいと言い出した。
しかも、その女は進学希望先の高校で副校長を務めていて、息子に対して思わせぶりな態度をとり続けている。
これほど筋が通らず、怪しい話を聞かされれば、いくら温厚な母さんであっても激怒して当然だろう。
実家に連れ帰って軟禁し、折檻される日々を送ることになったとしても何ら不思議ではない。
母さんの実家が何をしているのかはよく知らないが、身内の屈強な男どもに管理を委ね、辛く厳しい肉体労働に従事させられても俺にはそれを拒否する道理も権利もないので、甘んじて受け入れるしかない立場だと自覚している。
手早く顔を洗い、出発の準備を整える。もう戻って来ることはないかもしれないと思い、ふと家の中を見渡す。
繰り返される引越しのため少ない荷物。使い古した食卓、小型のテレビ、中身の少ない食器棚。どれもに愛着があるが、どれもが簡単に手放しても支障のない物ばかりだと気付き、なんだか寂しい気持ちになる。
俺個人の荷物も似たようなものだ。今回の引越しの際に勉強道具も勉強机も全部処分したから、部屋にあるのは寝具一式と少しの洋服、そして真新しい卒業アルバムだけだ。
大きめのリュックに財布とスマホの充電器、読書用の眼鏡、お気に入りのTシャツ数枚とズボン、替えの下着を入れたら荷造り完了。三分とかからなかった。
卒業アルバムは持って行こうとも思わなかった。
一度も開いてすらいない卒業アルバム。たったの三か月しか在籍していない学校にも、クラスにも思い出なんてない。
ただ、義務教育だから仕方なく、形式上在籍していただけのこと。最後に通ったこの学校は結局、年明けの転入初日と卒業式の日だけ。
行事のページに映る他人同士が親しげにしている様子を見たって何も楽しくない。集合写真は俺が転校してくる以前に撮影されたものなのでワイプ参加だ。そんなもの、貰わない方が良いと本気で思うほどの代物だ。
同じクラスの生徒の名前も、顔も分からない。クラス委員と名乗る女子がプリントを届けてくれることもない。
現代は連絡事項は学校指定のアプリに届くし、住所などの個人情報を他の生徒に安易に教えたりしない。
担任もウチの家庭事情を把握しているので、一度も家を訪れることはなかった。
床に転がっている卒業アルバムを無表情で見つめることおよそ三秒。
何かしら感情が動かされることはなかった。過去のことなんてどうでもいい、重要なのは今日この日、そしてこれからの現実である。
だが、それと同時に別の黒い感情がジワジワと心を浸食してくる気配を感じた。
―――そもそも、自分の容姿を少し指摘されただけで何度も引越しするのは自意識過剰もいいところなのでは?しかもそれはいい意味での指摘なのに、だ。そのせいで息子である俺が友達付き合いどころか、ろくに友達作りも出来ないまま貴重な青春時代を無駄にしてしまったことに対して申し訳ないと思わないのだろうか?
今回の件だってそうだ。憧れの学校への切符を手に入れた。寮生活も可能だし、自分の頑張り次第では学費もかからない。つまりは、母さんに頼ることなく、振り回されることなく、自分自身の力だけで生活をチャンスが目の前にある。
そして、その学校には意中の相手がいる。結果的にフラれようと交際に至ろうとそれは進学選択の副産物であって、自分の人生を大きく左右するものではない。
主軸は進学と自立。その選択の副産物が恋愛。そこは揺らぎようのない本心。
なので、特に今回はだけは個人的に譲歩したくない、譲歩できないと考えている。
母さんには確かに感謝している。女手一つでここまで大きなケガや病気をすることもなく育ててもらった。厳しいところもあるけれど料理は美味しいし、美人で優しい自慢の母さんだ。
だけど、俺の義務教育はもう終わったのだ。ここから先の人生、自分の力で生活できるのであれば、自分の意思を貫いてみたい。
―――神宮永遠、もうすぐ十六歳。まだまだ未熟者ですが、迷惑かけないよう頑張るから、見守ってくれませんか?
大きく息を吸いて、吐く。一度、感情をリセットしてからリュックを背負い、俺はそれ以上振り返ることなく、電気を消して部屋をあとにした。
高速に乗り、休憩を挟むことなくノンストップで走り続けること二時間以上。
母さんは一言も話しかけてこないし、俺の方から話しかけられるような雰囲気でもなかったので、車内には道路の継ぎ目を通るたびに聞こえてくるガタン、ガタンという一定間隔の音と、ゴーゴーと低音の効いたロードノイズだけだった。
そのどちらもが眠りを誘う心地よい刺激となり、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。夢は、見なかった。
「ほら、着いたわよ」
母さんに声を掛けられ、軽く肩を小突かれてやっと重い瞼を持ち上げると、目の前には見覚えのあるような、ないような古い大きな日本家屋があった。
玄関を開け、さっさと先に行ってしまった母さんに遅れないように慌てて車の扉を開けて小走りで追いかける。
中途覚醒状態で急に小走りしたので右足が空を切ったせいで転びそうになったが、どうにか咄嗟に体勢を整えることに成功した。
もし、この一連の流れを傍から見たらかなり滑稽に映ったに違いない。
幸いなことに母さんは既に玄関の奥まで進んでいたので目撃されずに済んだ。
ホッと胸をなでおろしたのも束の間、想定外の言葉が聞こえてきた。
「ダッサぁ~~~」
思春期真っただ中の俺なので正直、心にグサッと刺さった。
傷心と恥ずかしさを取り繕い、どうにか平静を装いながら棘のある言葉を投げつけて来た方向に視線を向ける。
「えっ、母さん??」
視線の先には縁側があり、そこには玄関にいるはずの母さんがいる。しかも、なぜか制服姿だ。
というか、なぜ制服??通常であれば実年齢とのギャップで違和感がありそうなものだが、クラシックなデザインということもあり、違和感なく着こなしてしまっているので質が悪い。むしろ、似合っている。これではツッコミを入れられない。
まだ寝ぼけているのかと思い、目を擦ってから再び確かめてみたが……母さんだ。
だけど、普段よりも更に若く見えるような……制服姿だからなのだろうか。
退屈そうに足を組み、片肘を組んだ足に乗せ、掌に顎を乗せながらつまらなさそうにこちらを見ている。俺を見つめる視線はまるで害虫を見るような、下等生物を見下すかのような無機質で冷淡なものだった。
「は? マジでキモい」
目の前に広がる非現実的な現実、ズタズタのプライド。
母さんの口からは決して飛び出さないような汚い言葉。
母さん相手とはいえ、さすがにイラっとした。
出発前、部屋に置き去りにしてきた黒い感情が再び俺の心を蝕み始める。
さすがに言われっぱなしというのも癪なので何かしら言わなくちゃと思い、母さんのことをキッと睨みつけながら言い返す言葉を必死に考えるがすぐには思いつかない。
せめてもの抵抗にと睨みつけ、必死に言い返す言葉を考えている俺を制服姿の見た母さんはフッと鼻で笑い、棘のある言葉で追い打ちをかけてきた。
「生理的に無理」
母さんは嫌悪感丸出しの表情で両手で両肘を抱えて身震いしている。全身に鳥肌が立っているのであろう。
俺は膝から崩れ落ちそうなのをどうにか堪え、溢れる涙をどうにか隠すために両膝に手をついて下を向くことしかできなかった。
一分にも満たないであろうこの短時間でダサい、キモい、生理的に無理という『思春期男子に投げつけてはいけない言葉トップ3』を網羅した強烈なコンボ。
男のプライドだけはどうにか死守して即死は回避できたが、試合結果は完全にK.O負けだ。この傷は三日ぐらい布団に籠城しないと回復できそうにない。
「永遠、そこで何してるの?」
玄関先からこちらへと足音がだんだんと近づいてくる。
ふと、顔を上げるとそこには私服姿の母さんが心配そうにこちらを見ていた。
「えっ、どういうこと?? 夢??」
ダメだ、さすがに意識が飛びそうだ。既に六十時間近くまともに寝ないで活動し続け、人生の分岐点に立ち、即死級の言葉を浴びて極度の高ストレス状態だ。
まだ若いとはいえ、幻覚の一つや二つが見えてもおかしくはない。
「今、誰かと話してたの? ていうか、あんた……何で泣いてるわけ?」
「泣いてなんか、ねぇよ……ていうか、いつの間にセーラー服から着替えたんだよ?」
「セーラー服?なんの話?私が着るわけないでしょ。寝ぼけたこと言ってないで、さっさと来なさい」
「いやいや、だってさっきまで母さんはそこの縁側に座って話を―――」
俺が指をさした先、縁側には誰も居なかった。やっぱりあれは幻だったのだろうか。そもそも、ほんの数秒ででセーラー服に着替えて縁側に移動し、息子に対して酷い言葉を浴びせ、再び私服に着替えて玄関から心配そうに再登場するなどどう考えても非現実的だ。
「ごめん母さん、ちょっと寝てもいいかな?」
「そうね、みんな揃うまでまだ時間かかるだろうし、母さんも挨拶して回りたいから少し寝てなさい。 布団、用意するからついてきなさい」
時刻は午前九時まであと少し。昨晩、たくさん夕ご飯を食べたとはいえ、今日は朝食抜きだったので空腹が気になり始める。
だけど、今はそれどころじゃないほどに心身ともに限界を迎えているので素直に寝ることにした。
恐らく久々なのであろう広い玄関で靴を脱ぎ、ピカピカに磨き上げられた廊下を少し歩いた先にある客間に通された。途中、チラホラと物音や話し声が聞こえてくるが、誰かとすれ違うことはなかった。
襖の先、十畳ぐらいの殺風景な和室には中央に木製のローテーブルがあり、部屋の隅に膝下ぐらいの高さまで座布団が積まれていた。
母さんは手慣れた様子で収納スペースから布団を一組取り出し始めたので、俺はテーブルを端に寄せてから肩からリュックを降ろした。
「みんな揃ったら呼ぶからそのまま寝てなさい」
母さんは襖を閉じる前、少しだけ俺の様子を見てから丁寧な所作で優しく襖を閉じ、やや早歩きでどこかへ行ってしまった。
俺は敷かれた布団にバタンと倒れ込むように身体を放り込み、フーッと大きく息を吐きながら目を閉じた。
やっと一息つける。強烈な出来事の連続が重なり過ぎたせいで十歳ぐらい一気に老け込んだ気がする。ふと、どうでもいいことを考える。
三十歳ぐらいの俺はどんな容姿で、どこで、何をしているんだろう。その時、俺の隣には誰がいるんだろうか―――
「制服姿の母さん、結構可愛かったなぁ」
突拍子もない言葉が自分の口から勝手に飛び出し、慌てて目を開き我に返る。
そのタイミングで無音だったはずの廊下の方からガタッと物音がした気がするが、多分気のせいだろう。
思った以上に疲れているみたいだ。休めるうちに休もう。どうせ、次に目を覚ました後は自分の意思など関係なく、なるようにしかならないのだから。
再び目を閉じると、俺は一分とかからずに眠りについた。深く、深く眠り心身の回復だけに集中した。
「永遠、ご飯を食べて準備なさい」
体感時間はおよそ二十分。こんなに早く起こされるとは思っていなかったが、意外とそれなりに回復できたようだ。
まぁ、普通の家庭であればもう既に遅めの朝食時間だし、客人とはいえ身内の俺ためだけに半端な時間に食事を作ってもらうというのも申し訳ないので素早く起き上がる。
まだ寝たりなければ食後にまた眠ればいい。何かあるにしてもどうせ昼過ぎになるだろうから。多分、だけど。
起こしに来た私服姿の母さんにはいはい、と軽く返事をしてから立ち上がり、軽く伸びをしながら何気なく壁掛け時計に目をやると、時刻は既に十二時を十五分ほど過ぎたところだった。
「えっ、もう昼過ぎ、なの??」
「食べ終わったらこの部屋に居といてちょうだい。準備できたら声かけるから」
やや呆れた表情を浮かべている母さんは、何も言うことなくそのままどこかへと小走りで行ってしまった。
「ってか食事、どこにあるんだよ……」
ポリポリと頭を搔きながら、その場に立ち尽くす。
このままでは埒が明かないので廊下に出て、適当に歩き回ることにした。すると、どこからともなく香ばしい香りがしてきた。
匂いのする方向へと歩き出すと、賑やかな声が聞こえてくる。そのまま匂いが強くなる方へとつられて歩くことで、難なく台所横にある食卓へと辿り着くことができた。
無事に辿り着けて一安心、だと思いたかったがそれよりも先に目の前の光景に驚くのが先だった。
台所に立つ人、人、人……そして、人。全部で七、八人ぐらい居るだろうか。
しかも全員女性。思わず、三歩後ずさりした。
それぞれが阿吽の呼吸で料理を作り、運び、盛り付け、後片付けをしているが、誰も俺に気付いていないようだ。
食卓には所狭しと色んな美味しそうな料理が並べられている。
ほとんどの人が母さんと同じぐらいの年齢に見える。正直、とても入りづらい。
少し前にテレビで観た『大奥』を思い出した。まさしく将軍様の御台所そのものが目の前にあった。
その中の一人がビビッて固まっている俺に気付くと、みんな一斉に次から次へと好き勝手に言葉を投げつけてくる。
「あら~、永遠ちゃんじゃないの、だいぶ大きくなったわね~」
「あらまぁ本当、お父さんそっくりねぇ~」
「久しぶりに帰ってきたんだからゆっくりしていきなさいね」
他にも色々と言われた気がするが、俺は聖徳太子ではないので聞き取れない。
聞こえてくる声はどれもが親戚のおばちゃんが言いそうなものばかりだけど、目の前に広がっている光景は『都会に出た息子が久々に田舎に帰った時の親戚の集まり』のソレとは様子が違った。
まとまりなくワイワイ、ガヤガヤとした雰囲気でおじさん達が酒を飲み、笑い合う。おばちゃん達は適当に話に加わりながらもテキパキと料理を料理を取り分けたり、酒を注いだりする。
若いモンは絡まれたり、たまに逃げ出して縁側で静かに一服したり。小さなこと共は最初はつまらないと文句を言うがお小遣いを貰えて心がホクホクなのか、それ以降は大して文句を言うこともなく集まって走り回ったり、おままごとしたり。
そんな田舎の親戚の集まりとはやはり様子が違う。
おじさんもおばさんも、若いモンも子供も居ない。居るのはおばちゃんと呼びようがない若いお姉さん達と俺だけ。
完全に場違いだ。この状況、俺はどうすれば、何と言えばいいのか分からずひたすら困惑の表情を浮かべるしかなかった。
「ほら、取り分けたからさっさと食べちゃいなさい」
お姉さんたちの中、助け舟を出してくれたのは母さんだった。
みんなどことなく似たような顔立ちだったので気が付かなかったが、一緒になって料理を作っていた母さんが俺に料理を取り分けて食卓の一画にスペースを確保してくれた。
ありがとう母さん、さっきは変なこと言ってごめんと心の中で謝罪しつつ逃げるように椅子に座って色とりどりの美味しそうな料理に夢中でかぶりついた。
「足りなければ自分で適当にとりなさいね」
あまりのがっつきようを見て、一言そう付け加えると母さんは何事もなかったかのように再びテキパキと動き始めた。
「永遠ちゃん、元気そうで何よりね~」
「佃煮はどう? それとも角煮の方がいいかしら?」
「野菜もたくさん食べなきゃダメよ~」
声のする方向さえ見なければ、ここにあるのは親戚のおばちゃん達とのよくある会話だけだ。そう、声のする方向さえ見なければ、だ。
目の前の異様な光景を見ないようにするため耳を塞ぎ、これから起きるであろう憂鬱な話し合いを考えないようにするために俺は目の前の料理を食べることだけに集中し続け、ひらすら無言で食べまくった。
久々の食事、美味しい食事のせいで苦しくなるほど食べ過ぎた俺は早々に部屋に戻って再び布団に倒れ込んだ。
まだ眠たかったけど、苦しくて眠れそうにない。とんだミスを犯してしまった。
もう少し、もう少しできっとお腹が落ち着いて眠れるはずだ。そう考えていた矢先、その時は思いのほか早く訪れた。
「永遠、準備ができたからついてきなさい」
断頭台への階段が目の前に現れた。持って来た白い大きな封筒を取り出し、黙って母さんの後を追う。
幸いなことに数時間の睡眠と美味しい栄養たっぷりの食事のお陰で頭は冴えているようだ。
とはいえ、斬首刑に処されるまで残り、十三段。
「今から話す相手はあなたの、そ……えっと、おばあちゃんに当たる人よ。神宮
残り、十一段。
「いい? たとえ、何を聞かれても自分の思ったことを正直に答えなさい」
残り、九段。
「それがあなたのためだから。全ては、永遠のためなの」
残り、七段。
「こうするしかなかったの。こう、せざるを得なかったの」
残り、五段。
「あなたの願いは、私の願いよ」
残り、三段。
「これが、私なりの精一杯の罪滅ぼしだったの」
残り、二段。
「今は何も分からなくていい。知らない方がいいことも、あるの」
残り、一段。
最後の一段を登り終えると、そこに待っていたのは落ち着きのある女性。
台所にいた女性。この人が俺のおばあちゃん?本当に?
母さんたちよりも一回り上ぐらいの、四十歳前後にしか見えない。何なら、実はこの人が本当のお母さんでしたと言われても不思議じゃないぐらいの若さだ。
到底、おばあちゃんだなんて呼べそうにない。おばあ様? いや、椿さんと呼ぶ方がしっくりくる。というか、それ以外に呼びようがない。
母さんといい、椿さんといい、他の女性たちといい、うちの血統は何かしら不思議な力が働いているのではないか?と本気で考えてしまうほど若々しい。
大広間の中心に鎮座する彼女を中心にして、先ほどまで台所にいた女性たちが左右の席で背筋を伸ばして座っている。
その様子はまさしく『女王様への謁見』そのものだった。
俺は唾を飲み込み、一度だけ大きく深呼吸をしてから覚悟を決め、女王様の正面に正座した。
母さんは俺が座ったのを確認し、出入り口に最も近い場所、俺の右斜め後ろに正座した。
「よく来たわね永遠。話、しっかり聞かせてもらうわよ」
―――俺の人生の分岐点、『進学』か『従事』か。今、ここで決まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます