第18話 思惑と釣り餌
「リヴァイアサン…って一口で言っても
『爬虫類』くらいアバウトな感じなんだよ!」
「「へぇ〜」」
「細長くてデカくて顔がカッコいい奴は
大体全部そう呼ばれてるんだ」
“顔がカッコいい”の時に板書してある
蛇?の顔をトントンしてたのは、つまりそういう事なのか。
「マグロって綽名のとーり、
繁殖期に入ったリヴァイアサンは
身体中真っ黒になってて、
魔法を使った探知にも引っかからない
し、栄養を蓄える為に何でもかんでも
食べちゃうの!! 怖いよ〜」
「なるほど」
ゼクウさんが言っていた『
表現はそういう事だったのか。
見境なしに何でも平らげてしまうのであれば
当然人間だってその範疇に収まっている。
「質問」
「なーにシアちゃん」
「探知不能な存在を
どうやって探すのかしら?
私気になります!」
「いい質問ですね」とでも言いたげな
マキシはメガネをクイっと直して意外な事を
言い放った。
「探さないよ?
だって、シアちゃんの言った通り探せないも
ん」
えぇ…。
じゃあ何もお話にならないのでは…??
という僕とネシアの心中を見透かしてか
ピンクの後髪をはためかせて
狐耳の少女は得意げな顔を浮かべた。
「安心してってバ〜♪
言ったでしょ。この時期のマグロは
食欲旺盛で何でも食べちゃうって」
「「うん」」
「じゃあさ、誰かが
ハッ!!
まさかそのリヴァイアサンをおびき寄せる餌って
ネシアの…事なのか??と思わず向き直ってしまった。
「すぐに主人を使い捨てて
保身に走るなんて出来た奴隷ね、シンジ」
「あ、いや。そういうわけじゃなくて」
世界最強の魔王とはいえ、
厳しい環境で万全の力を
常に振るえるとは限らない。
もしネシアを疎ましく思っている存在からすれば
この機会は喉から手が出る程欲しいだろう。
———例えば、バルバレッサ…とか。
(勇者を倒す事にこだわっていた
バルバレッサと、助力しながらも
乗り気ではなかったネシア…)
ネシアは杖の影を渡した時に
『一度だけにしておけ』と警告までしていた。
件の勇者の話を聞く限り
そう都合よく一度だけで倒せる
相手とは思えない。
だが、何度も使おうとすれば
逆にネシアと敵対してしまい
勇者討伐の妨げになってしまうかもしれない。
これを解消するには簡単だ。
ネシアがいなくなればイイ…と。
「もしそんな状況になっても、
僕は必ずネシアを救うから大丈夫だよ」
「私の奴隷…私の事好き過ぎ…?」
「これはそういう撫で撫でじゃないからね」
というか頭撫でてくる=好きって。
チョロイン過ぎますよネシアさん??
「ちょっとちょっと〜。
目の前でイチャコラされたら
やりずらいんですケドー!!」
「こんなのはただの溺愛表現よ。
気にしないで」
「弁解になってないよソレ」
甘ったるい空気を吹き飛ばす様に
咳払いをしたマキシは「安心して」と
指を立てて見せた。
「マグロ漁で長年エサやって来た
あーしに任せなさいっ」
「「おねしゃーす」」
「ちょっとは心配して欲しーし?」
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