第17話 涙黒子の勉強会と下の穴

「——さてと♪

 デザート食べて頭の中キラキラ〜って

 している内にちょっとお勉強会しよっ」

「お勉強会…知っているわ」

「はい」

「FXのセミナーや儲かる情報商材の紹介とい 

 う奴よね」

「ぶっぶー」

「ぶーぶー!」


しかし完全に間違っているとも確かに言えない。

こんな寒い地域の海で漁をするんだから

当然ちょっとしたアクシデントやミスが

命取りになる事もあるだろう。

それだけのリスクを負って頑張っても

獲物が取れない可能性だってあるわけだし。


「ハイ注文…じゃなくて注目〜」

「実に面白い(低音)」

「世代じゃないでしょネシア」


そのメガネと白衣はどっから出てきたんだ…


カウンターの下から白板とメガネを

取り出したマキシはサラサラと

細長くてプチキャラみたいな可愛らしい

お目目の蛇?を描いてから説明を始めた。


「2人はリヴァイアサンを獲った事ある感

 じ〜?」

「ないよー」

「一緒くたにしないで貰いたいわ」


何だ、経験あるなら言ってくれればいいのに。


そういえばバルバレッサと話した時に

『手頃なペット』とか言っていたな。

世界最強の魔王だけあって、本気を出せば

どんな怪物だろうと手懐けられる自信があるんだろうな。そういうところは凄く頼りになりそうだ!


「夏休みの自由研究用とかで

 ホムセンに売っている

 『プランクトンでも出来るミニチュア

  海獣 かわいいリヴァイアサンキット』で

 一時飼っていた事があるの♪」

「癖強」

「おっけ〜♪ 

 それじゃ基本的な事だけ説明しておくネ〜」


メガネをクイってする度に左目の下の

涙黒子に目が行ってしまう。板書しているマキシのピンクの尻尾…モフモフしたい。


「カカトォ!?」

「簡単に他の女に下の穴を伸ばさないで頂戴」

「下の穴ってどれだよ」


雪だるまがそんなに好きだと思わなかった!

こんなに不機嫌になるとは…

器の小さい魔王様だぜ…とか思ってないよ??


「誰が下の器が小さい働く魔王さまよ」

「下の器ってなんだよ」


というか働く魔王さまっていうより

ようやく働いてくれる魔王様でしょキミは!!


「悪かったよ、ごめんネシア。

 もうやらないよ」


今回はちゃんと反省しないとな。

思い返してみると、モヒカン達の言葉は

多分に正論を含んでいた風に思われる。


(それはそうと酔って暴れていた奴らの言葉を

間に受けるのも如何なものだろうとは思うが…)


「…何をしないの?」

「雪だるま」

「……」

「締まってる締まってる!!」

「締めてるのよ。当然じゃない」


意外ッ!!

それは卍固めッッッ!!!


「叩かない!もう叩かない!!」

「…」

「俺も手伝うから!!」

「何を手伝ってくれるの?」

「雪だるま作るの」

「…」

「お”っ”…ギ”…ギ”ブ”……」

「ハイハーイ、そこまでそこまで〜」


ゴングが鳴り響き

脳みそに酸素が充填されていく…ふぅ。

ネシアは意外と根に持つタイプ…と。


気を付けよう、これからは。



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