第36話 会心の一撃
「そ、そんな...」
「厄介じゃなぁ...」
ルシファーが発動した、
「さぁ...どのように虐めてあげましょうかねぇ」
ルシファーは、先程よりニヤケが酷くなっている。どうやら泣き叫ぶ姿が大好きなサイコパスのようだ。そんなルシファーに絶望するカラ達だが、更に追い打ちをかけるように、先程ゼウスが何発も殴った後、気絶して倒れ込んだアザゼルが起き上がってくる。
「あァ〜...。痛かったァ...」
「おや、アザゼル。寝ていたのですか?」
ルシファーはアザゼルが倒れ込んでいたのを今気づく。
「あァ、あのジジイのせいで寝てたわ...。ンでも力は溜まったなァ」
そうアザゼルは言うと、鋭くとがったギザ歯が見えるほどにニヤけ、こちらを見つめてくる。
「くっ...」
「今起こりうる最悪の状況だなこりゃ...」
「どうしましょう...」
主らも頭を悩ませる。すると、シヴァが攻撃を仕掛ける。
「フンッ!!」
「グッ!?」
「余の攻撃は何も異能を付けていません。ですので、此奴らに攻撃は通ります!」
「そうじゃ...。異能が無理ならパワーで勝てば良いんじゃったわい!!」
シヴァの攻撃のおかげか、ほかの主らも続いいてアザゼルとルシファーに向かうようになる。だが
「異能なしじゃ、先程よりダメージは喰らわねぇなァ!?」
アザゼルは笑いながらそういい、シヴァの攻撃を真正面から食らい続ける。
「ぐっ...」
「っはは!どうしたァ?ジジイのあの攻撃より痛くねぇなァ!?」
アザゼルはシヴァにそう言い、笑顔でシヴァに殴り掛かる。
「マ、マズイ!!」
「今のアザゼルは...っ!!」
「フゥッ...!!」
シヴァはアザゼルの拳に合わせるように、別の腕で殴り掛かり、お互いの拳がぶつかる。しかし。
「ガァァアッ!!」
「ッ...!!」
「シヴァ!!」
アザゼルの攻撃の強さに耐えきれず、シヴァの拳は裂けてしまう。
「フハハハ!!良いねぇ!その喚く姿!!」
後ろにいるルシファーは、幸せそうな顔をしながらシヴァを見る。
「嘘...」
「シヴァ様の腕が...」
リノア達はその目の前の光景に絶望する。主ですら敵わないその存在に、誰が勝てるというのか。その瞬間。カラの身体の中で強く鼓動が響く。
「はぁっ...はぁっ...」
ダ、ダメだ...。ここで暴走しては...。
「はぁっ...はぁっ...」
落ち着いて、息を整えるんだ...。ぐっ...。力がッ...
「はぁっ...はっ...」
しかし、カラの願いとは裏腹に力は増大していく。
「アァァァアアアッ!!!」
「カ、カラ様ッ!!」
「カラ!!」
リノア達はカラの様子を見て、とてつもなく心配する。当たり前だ。今までも暴走してきたからだ。しかし、そんな中
「諦めてはならぬ!!後、アザゼルとルシファーは妾とカラがやる!!他のものは雑魚を倒してくれんか!」
と、突然大声を張り上げ、自身の剣をアザゼルに向けるアヴァロン。その瞳にはまだ輝きがあった。
「ア、アヴァロンさん...?」
「どうしてこんな時に...」
「それにカラ様は...」
一同困惑する。
「クフフ...。アザゼルだけで貴方達は敵わないのに、更に私もいる...。そんな状況でどうやって立ち向かうのですか?」
ルシファーは、鼓舞をあげようとするアヴァロンに対して、そんなのを無駄だと嘲笑する。
「更に、アナタのお仲間さんは絶望のあまり泣き叫んでいる...。もう無理では?」
「決めつけるのはまだ早いぞ。悪魔よ」
アヴァロンがそういった後、何かが鳴動しているのを感じる。何かとてつもないものが...。そんな様子に気づくリノア達。
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すると、どこからかレーザーが放たれる。そしてそのレーザーにより、アザゼルの片腕を消し飛ばされる。
「...は?」
あまりにも一瞬の出来事に理解ができなかった。アザゼルだけじゃない。ルシファーも主らも、更にはリノア達も驚愕している様子。それもそうだ。
「い、異能は全て消失するンじゃぁ...」
アザゼルは困惑しながら言うと、ルシファーは険しい表情で答える。
「...まさか...呪い!?」
「呪い?」
ルシファーが言った単語を初めて聞くアザゼルは、それはなんだと言わんばかりの表情でルシファーに言う。
「呪いが何かを教えたいですが、まずは此奴らを殺してからにしましょう!!」
「お、おう!分かった!」
アザゼルとルシファーは真っ先にカラを倒そうとする。しかし。
「アザゼルよ、お主は妾が相手じゃ」
その途中でアヴァロンが割り込み、笑顔でアザゼルを止める。
「アザゼル...ッ!!」
「感情変換:
「...グッ!!」
ルシファーはアザゼルの方へ加勢しようとするが、何故か上空から武器の雨が降り、止められる。
「...アナタ、それで止めたつもりですか...」
「アザゼルの方へ向かわせる訳ないだろう。だって私はお前を絶対に殺したいんだ。」
ルシファーがカラの方を見つめると、そこには先程とは全く違う姿のナニカがいた。
「先程とは随分姿が違うようですが...」
「姿?あァ...。この力は感情にのまれるからね。だから感情が昂った瞬間、必死に抵抗したんだ。その結果、少々バグってしまった...」
カラの人格はありつつ、いつもとは少し違うようなそんな性格。しかし、その姿は右半分が電子に呑まれたような、文字通りバグったような姿をしており、頭には電子のツノが生えていて、背中には何故か悪魔のような翼が電子で形成されている。さらに、右側のカラの実体が分かりづらくなっており、まるで空間と物体が一体化しているかのように見える。
ルシファーは、カラの意味不明の状態に警戒しながらも攻撃の準備をする。
「祝福への嫉妬」
ルシファーはそう唱えると、両手に黒と緑が混じった負のオーラを纏い、戦闘態勢へと入る。
「エネルギー変換:
カラがそう言うとルシファーの頭上に何かの陣のようなものが無数に発動する。そしてその無数の陣からレーザーが放たれる。
「クッ...!!」
レーザーが発生する頻度が早すぎる為、ルシファーは必死に避ける事しか出来ない。
「ふっ...。堕天の王と言っても、物量で押せば大したことないんだな」
そう煽ると、逆鱗に触れたのかルシファーは何かの構えになる。
「貴様を本気で殺す」
そう言うと、ルシファーは背中から生えている黒く染まった天使の羽を6つを広げ、拳に闇を纏わせる。
「フンッ!!!」
しかし、カラはそれを片手で受け止める。
「衝撃反転」
そう言うと、カラが受けた攻撃はルシファーへと戻る。
「ッ...!?グフッ!!」
思わず血反吐を吐くルシファー。そして大量の汗をかく。
流石の私でも噂程度でしか聞いたことがないが、これほどに強いのか!?呪いという存在は...!?
ルシファーは呪いという力があまりにも強すぎて動揺する。それと同時に、このバケモノ相手にロキ様はどう戦ったのかも疑問に思う。
「ルシファー、お前の本気はこんなものなのか?それでも悪魔王なのか...?」
半分暴走しているせいで性格が変わったのか、カラは戦闘狂になっており、その影響でルシファーの弱さに絶望する。
「そうだ...。私は悪魔王だ。ロキ様の命により貴様を抹殺するように言われた。最強の悪魔だ」
そう言うと、ルシファーの紫色の瞳は光り、カラに攻撃を仕掛ける。
っ!速い!!
反応に遅れ、咄嗟に守ることしか出来なかったカラ。
「ッハハハ!反応に遅れたね?この速さには着いて来れないってことだな!?」
ルシファーは笑い、吹き飛んだカラをすぐに追いかけ攻撃を続ける。
「物量で押せば対した事ないんだっけ?なら私も物量で押してやるさ!!」
ルシファーは満面の笑みでそう言うと、本当に物量で押し込んでくる。
「グ...ッ!!」
一つ一つの拳の重みとその拳の連撃でカラは防戦一方になってしまう。
「カラ!!」
その様子を見たアヴァロンはカラを心配するが
「どこ見てんだァ!?」
と、アザゼルがアヴァロンを攻撃する。
「クッ...」
アザゼルの不意打ちを刀で防ぐアヴァロン。
「おい、ガキィ...。片腕の俺に苦戦してンじゃねぇか...。弱ぇなぁ...。ん?もしかしてテメェ、人類最強の剣士って奴か?」
アザゼルはニヤケながらアヴァロンに問う。
「だったらなんじゃ...っ!!」
アヴァロンはアザゼルの問いに答えながら、アザゼルの拳を退ける。
「っと...。いや?人類最強の剣士と言っても、やはり限度があるもんなんだなぁ。と思っただけだ」
鼻で笑いながらアザゼルはアヴァロンを煽る。
「人類最強の剣士か...。妾にとっては、それはただ、妾が普通より年月を長く生きただけで貰った称号に過ぎぬ。」
そう言いながら、アヴァロンは自らの剣を横にし、何かの力を貯める。
「普通より長くか...。フッ。そんな長生きのおばあちゃんはどのくらい長く生きて、どのくらい長く剣を磨いてきたんだ?」
侮辱しながら、下に見ながらアザゼルはアヴァロンに問う。
「どのくらいか...。そんなもん覚えておらんわ...。ただ、1番古い記憶はこの世界が1つの国じゃった時代じゃな」
アヴァロンがそう言い放った後、剣をアザゼルへと向ける。アヴァロンの周りには白いオーラが。そしてその瞳は赤く光っており、相手を抹殺すると言う覚悟の目つき。
「それが本気か?人類最強剣士さん...。ンなら俺も本気出さねぇとな」
アザゼルは拳を合わせると、フルパワーのオーラがアザゼルから放たれる。そのオーラの影響で強風が発生し、周りの砂煙も吹き飛んでいく。
「悪魔が人間に勝てるわけねぇだろ...。夢物語も大概にしろよなァ!!」
そう怒号を上げ、アザゼルはアヴァロンにまっすぐ向かう。しかしその速さは今までの比にならない程速い為、ずっと反応できなかったアヴァロンが反応できるわけが無いと、アザゼルは慢心していた。しかし、アヴァロンの目はアザゼルを追っていた。そう。アザゼルの事が視えていたのだ。その事にアザゼルは瞬時に気づき、すぐに離れる。
「チッ。気づかれてしもうたか」
アヴァロンは少し悔しがる。
「お前...。まさか今までずっと俺にブラフをかけてたのか...」
「あぁ、見えていたよ。若造の愚かな慢心もな」
アヴァロンは目を細め、半笑いでそう言う。アザゼルを煽るように。
「へぇ...。へぇ...へぇ!!!面白い事してくれンなァ!!!」
アザゼルは、自分が手のひらを転がされていたことに気づき、アヴァロンにブチ切れ、その怒りでオーラを完全解放する。
「テメェをタダでは死なせねぇぜ...。クソババア!!!」
アザゼルの生えていたツノは伸び、堕天使の黒い翼が生えてきた。そしてその瞬間、アザゼルはこれまで以上の速さでアヴァロンに近づき、攻撃を仕掛ける。
「フンッ!!」
しかし、アヴァロンはこれにも対応。
「オラオラオラオラァ!!!!」
アザゼルはそんなの気にせず、全力をぶつけまくる。
「強いだけが取り柄では、妾には勝てんぞッ!!」
「ンなもん知ったこっちゃねェ!!テメェさえ殺せれば後はどうだっていいんだよォ!!」
白目になりながらもアザゼルは、アヴァロンに攻撃を仕掛けまくる。しかし、アヴァロンはアザゼルの攻撃を全て受け流す。
しかし...。此奴の攻撃速度が速すぎて、仕掛ける隙がない...。どうしたものか...。
アザゼルの攻撃を受け止めながら、アヴァロンはそんなことを頭の中で思い、対策を練る。
「どうしたどうしたァ!!ずっと守ってばっかでェ!!それだけで人類最強になったのか?あァ!?」
その通りじゃ...。此奴に攻撃できん...。このままではカラと同じように物量で押されるッ...───
「───なぁ、アヴァロンはさ。このまま、俺の元で剣技を極めて行って、もし人類最強剣士になったら、どうするんだ?」
そんな突然の質問に妾はキョトンとして、目が点になってしもうた。そしてその後、うーん...と考える。そんなの思いもしらんかったからな。
「...そうじゃなぁ」
「もし、俺がアヴァロンだったら、その力で国王になって、民たちを守りたいかな!!そして民たちに平和をもたらすんだ!」
そう言うと、その人は両腕を空高く上げて、眩しく笑った。
「...なんじゃそれ。なら妾は────」
瞬間、アヴァロンの目は再度光る。その瞳は隙を突いた狩人のように鋭く、その目線だけで人を殺せそうな程に。アヴァロンの剣は赤く光る。まるでアヴァロンに呼応するように。
「アザゼル...。お主には敬意を込めて、会心の一撃で沈めてやろう」
アヴァロンのオーラがより大きくなっていく。
「奥義...カラドボルグ...」
あまりに一瞬の出来事だった。それ故にアザゼルは、自身が斬られたという事実さえ気づかなかった。
「クソババア...!!何処...だ...っ」
アザゼルは、アヴァロンが自身の後ろにいたと気づく、しかし、もうその頃にはアザゼルは息絶えていた。
「アザゼルよ...。お主は強い。じゃが慢心しすぎじゃな」
アヴァロンは少し悲しそうにアザゼルに向けてそう言う。
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