第9話 動き出す運命

カラ達が能力を検査してる間、ルヴラは何をしていたかと言うと...

遡ること数時間前。


「おほー!すごーい!!」

ルヴラは街を見渡すや否や目をキラキラさせ、走り回る。

「何あれ...!丸いのが地面から出てる!!」

「これ...この世界の地図...?」

そう言いながら球体のホログラムに触れようとすると透けてしまう。

「わ!?」

す、すごい...!!なんだこの技術ー!!

更に目をキラキラさせるルヴラ。

「あれは何だ!?これは!?」

そうして好奇心が止まないまま、あちこちと店を回っていったら5時間が経過し。とある店にたどり着く。

「うぉ〜...」

「どれも面白そうな物ばっかりだ...」

「これらって魔法道具の一種なのかなぁ...!?」

と道具を見ていると突然

「どうした?お嬢ちゃん。うちの物に興味津々だねぇ」

そう店の人が話しかけてくる。

「あ、えと...邪魔だった!?ならごめんなさい...!!」

ルヴラは店の人にきちんと謝るが

「いいよいいよ!邪魔ってわけじゃないんだ。ただ、こんなちっちゃい子が興奮して、うちの物を見てくれるなんて思わなくて話しかけたって感じさ」

店の人はそう言う。こんな優しい人もいるんだなぁと思いながら店を見渡すと。ふと、気になったものを手にする。

「ん?...何これ」

「あぁそれかい?それは物体を収納出来る...まぁカバンとかの強化版的な奴さ」

「なるほど!!」

こんな小さい四角の物体がそんな優れものだなんて...!!

「何て言う名前なんですか?」

「それの名前ならミリキャって名前さ」

「ミリキャ...!!」

頭に残りやすい名前!!すごい!!はっ...そうだ

「これいくらなんですか...!?」

「ミリキャは1260ブルドだよ」

「せ...1260ブルド...」

思ったよりも高い...悲しいけど今は足りないや...

「良さそうなのに金が足りなくて買えない...」

「...そんなに良かったかい?」

「そりゃもちろんですよ!!」

「んじゃあ、気に入ったついでに...半額の630ブルドにしてあげる!」

「えっ...!?い、良いんですか!?」

「うん。もちろん。いいに決まってるじゃん!」

そう店の人は笑顔で言ってくれた。優しい...なんて優しいんだ...この人は...!!

「ありがとうございます!!」

「んふふっ...可愛いねぇ。うちの子と同じくらい可愛いよ」

うちの子...この人結婚してたのか!!そう思い、質問をしてみる。

「子供いるんですか!」

「あぁ、私にも丁度君と同じくらいの歳の子が居るよ。今は奥の部屋で寝てるけど」

同じ歳...!!どんな子だろ?

「ただまぁ、極度の人見知りでねぇ普段は人と話さないんだけど...あ、そういえば今日初対面の子と遊んでたけど...あの子とはすぐに打ち解けてた。凄いいい子でしっかりしてた子だったね」

「ほえーそんな子いるんだー」

人見知りの子と打ち解けたの凄いなー。

「はい。ミリキャどうぞ。」

「ありがとうございます!!」

「そういえば、君はこの街に結構長く居るのかい?」

「んー...分からない...けど、カラ達に聞けばわかるかもです!!」

「そっか!じゃあまた気が向いたらここにおいでね」

「うん!!また来るー!じゃーねー!!」

そうして手を振りながら走るルヴラ。

「あの子もいい子だったね...元気でとってもいい子だ。あれ、そういえば...カラって子、確か...シフィと遊んだ...子だったような...もしかしたらあの子の友達なのかな...?」

「ふー!楽しい買い物だった!」

ふひひ...カラに教えたら驚くぞー!


「えーっ!!その人知り合いなの!?」

「うん。そうだよ」

城に戻り、カラに教えたらまさかの知り合いだった。

「じゃあ明日、一緒にあの店に行こ!」

ルヴラはそんなことを提案する。

「別にいいけど...何故に明日?」

「すぐにそのシフィって子に会いたいから!!」

「なるほどね。じゃあ明日行こう」

そうして俺とルヴラは明日、シフィと会うためにすぐ寝ることにした。


次の日の昼頃。

「カラ!!起きて!!カラ!!」

と上に乗られそして揺らされている...。だが眠い

「...ぬぁ...」

「カーラ!!起きろー!」

んー...眠い...

「んむぅ...」

ずっと横になっていると、ルヴラが耳元に寄ってきた。そして

「起きないと...このまま襲っちゃうよ...♡」

「ちょっ!?」

「んふふっ」

「ど、どこからそんな言葉覚えてきたの!?」

「えへっ秘密!」

恐らく本かなんかで知ったんだろうが...9歳が言うべき言葉じゃないだろ...

「んもー...どうしたのルヴラ」

とベッドの上で座る。

「どうしたのじゃなくて、今日でしょ!!」

「シフィのとこ行く約束ね。覚えてるから大声で言わないの」

「早く行こ!ね!!」

ベットの上で足踏みをするルヴラ。

「わかったから落ち着いて」

ルヴラに起こされた為、準備をする。


はー眠。って思いながら食事の方へ向かう。

「おはようございます!カラ様!!」

「おはようリノア...ふあぁ...」

リノアの前で欠伸あくびをしたらリノアがこちらをじーっと見てくる。

「ん?...どうしたの?」

「眠いのかなぁと思っただけですよ!」

「ただルヴラに強制的に起こされたから欠伸あくび出ただけで大丈夫だよ!!」

そう言うと。リノアの顔色が変わる。

「...そうですか!分かりました!」

と言い、トタトタとどこかへ行ってしまう。

...何だったんだ?なんて思いながらまた廊下を歩き始めると

「あ、おはよカラ」

何かをしているクゥロに出会う。

「おはようクゥロ...えと、何...してるの?」

「ん?見て分からない?」

「んーと...見て分からないというか...見ても分からないというか...」

見たところ何故か廊下で壁に足を引っつけている。氷で。

なんか...某波紋アニメのopの吸血鬼の人みたいな感じになっている。

「特訓しているのだ」

ムフーンとドヤ顔で言うがなんの特訓なのか理解ができない。

「...どんな特訓なの?」

念の為聞いてみる。おそらく大したことは無いんだろうが...

「重力に耐える訓練だよ」

「...なんで重力に耐える訓練が、今必要なの...?」

「気まぐれ」

「うーんと...」

クゥロってこんな子だったっけ...と困惑しながらも、食事がある部屋へ向かう。そして何事もなく着く訳でも無く。その道中にミューラ姫に出会う。

「おはよう。転生者。今日はよく寝れたかしら?」

名前で呼んでくれないのな...

「えぇ!ぐっすり昼まで寝てしまいました」

笑顔で答えると分かりやすく不機嫌になる。

「それはよかった。頭痛で歩けなーいなんて言わないようにね。」

と言い、ミューラ姫はその場を離れる。いや京都かイギリスレベルで皮肉るじゃん...とドン引きしてしまう。


「ミューラ姫はブラコンすぎるんよな...」

なんて呟いていると今度はリュグラ王に会う。

「やぁ、カラ君」

と爽やかな笑顔で挨拶してくる。

やべ...今の聞かれてたかな...。

「お、おはようございます...リュグラ王...」

「歳言うほど離れていないし、王なんてつけなくていいよ。カラ君」

「よ、呼び捨て...ほんとにいいんですか...?」

どうやら聞こえてなかったみたいだ...良かったー。

「うん。そっちの方が俺的には楽になる」

「じゃ、じゃあリュグラ...で...」

...若いとはいえ王だからタメ口慣れないなぁ。

「うん。いいね。ところでカラ君はどこへ行くんだい?」

「さっき起きたので、今から昼食を食べに行こうかと」

「なるほどね」

「リュグラは今から何をしに?」

「民達との交流さ。」

なるほど...王って感じの用事だ。

「じゃあねカラ君」

「行ってらっしゃいです」

そんなこんなで目的の部屋に着き、昼食を食べる。

「ご馳走様でした...っと」

食べ終わった瞬間。ドアが勢いよく開く。

「食べ終わった!?」

ルヴラだ。

「うん。今食べ終わった」

「じゃあ、支度全部終わったってことで良い!?」

早く行きたいオーラが出すぎて、滲み出てるレベルでは無い。

「終わったから行こうか、ルヴラ」

「うん!!」

そうして俺とルヴラの2人は、シフィに会いにいくことに。


「こんにちは...ウィグさんいますか?」

「はいはーい...おや?カラちゃんと...昨日の子だ...やっぱ2人共友達だったのかい」

「シフィいますか?」

「ちょっと待ってね...シフィー!カラちゃん来たよ!」

すると、奥の部屋から軽い足音が聞こえる。

「シフィ...!」

〝カラさん!こんにちは!〟

シフィをぎゅっとハグした。

「ね、ねぇ...この子がシフィちゃんなの...!?」

はぁ...はぁ...とどうやら抑えきれないルヴラ。だがしかし、シフィは極度の人見知り...。どうすれば...

「ま、待てルヴラ。この子は人見知りなんだ...そう簡単に抱きついてはいけない」

「ハッ!それはダメだ...!抑えないと!」

〝カラさんこの人は?〟

シフィが質問してきた。

「この人はカラの友達のルヴラって子」

「よろしくね!シフィちゃん!」

〝よ、よろしくお願いします!ルヴラさん〟

小さく頷くシフィ。

「あっかん!!可愛すぎる...!!」

顔がキュッとなるルヴラ。だが気持ちはとてもわかる。クソ可愛いよな...シフィ...。

「今日も一緒に遊ぼ?シフィ」

〝うん!〟

超絶笑顔になるシフィ...やべぇ可愛い。

そうして、俺達は街を探索しながら遊ぶ。

「知れば知るほどシフィちゃんが可愛すぎる...!!ギューしていい?」

〝良いよ!〟

遂にシフィから許しを貰えたルヴラ。

「やったー!!じゃあ優しくぎゅーするね...!」

興奮を抑えながら優しく抱きつくルヴラ。

〝わふっ〟

「ほわぁ...柔らかいぃ...」

口がゆるゆるで目が至福...って目をしている...。それほどに抱きつきたかったのか...ルヴラの可愛い子に抱きつきたいって言うさがは本当みたいだなぁ...

〝ルヴラさん暖かくて気持ちいいです〟

とシフィもほわほわした顔になっている。

「...っ!!」

「あ」

これ、絶対もっと刺さったな...ルヴラ。

「可愛すぎるよぉ〜!!この子!!」

〝ふみゅぅ〟

凄い声だなぁ...と言うか、抱きついてる間も文字が変わるってことは、このホログラムってシフィの思考を言語として、違和感ないように自動翻訳してから自動送信されてるのか...?こんな小さい機械の中にAIか何か入ってるのか...?凄いな...これ...

「この子持ち帰りたい!!可愛すぎる!!」

そうルヴラは俺に言う。

「ダメに決まってるでしょ!何言ってるのルヴラ」

と否定したら、シフィがこんなことを言い出す。

〝シフィはカラさん達の所に行きたい〟

「えっ...?」

「嘘ぉ!!」

驚愕する俺とは反対に嬉しそうなルヴラ。だが俺たちに着いてくるとなると...

「シフィ...もし、それ本当にカラたちの所に来るのなら、覚悟を決めた方がいいよ...カラ達は魔物とも戦うだろうし、魔王も倒す」

〝魔王?〟

「うん。魔物達を産んでる魔物の王。近頃復活するかもしれないんだ」

「確かにシフィと一緒に旅したいけど...でも、危険な思いはさせたくないかも...」

ルヴラもそう言い始める。

〝で、でもシフィは〟

その瞬間、大きく地面が振動する。

「な、何!?」

「地震...?」

いやそんな感覚じゃない...これは爆発した感覚だ...

そして周りを見ると街の人達が城から離れようと走っている。

「も、もしかして...城が...魔物に襲われた...?」

「嘘...だろ」

〝この国無くなっちゃう?〟

涙目になるシフィ。が落ち着かせる。

「...大丈夫。落ち着いてシフィ。落ち着いてお母さんの所に戻ってて。ルヴラ。魔法道具持ってる?」

「勿論!はいこれ!1回しか使えないけど、前寝ていた場所に瞬間移動する道具だよ!」

は?なんだそのクソ便利魔法道具。どうやって作ったんだよ天才すぎでしょ。

「ルヴラは後できて!シフィに守りの魔法道具か何かを渡して城に戻ってきて!!」

「分かった!」

そうしてカラは瞬間移動する。

「...シフィちゃんにはこれ」

〝こ、これは?〟

「道具が壊れない限り守りが消えない道具。これを持ってお母さんの所に戻って?そしてお母さんを守って?」

〝で、でもルヴラさんは〟

「僕もカラのところに行かなくちゃならないんだ...次の日になったらまた遊ぼ?ねっ」

〝え、ルヴラさん〟

「じゃあね!シフィちゃん!」

ルヴラも魔法道具を使い瞬間移動する。

〝次の日の為に、ルヴラさんとカラさんに会うために頑張らなきゃ!〟

〝と、とりあえずママのところに行かなくちゃ!〟

シフィは自身の店に戻る。


城内───。

「うわっ!?本当に戻った...どういう原理?マジで便利すぎるでしょ...」

しかし、城内は悲鳴や怒号まみれで、更には何部屋か燃えている。

「流石にこの国でもバリアレベルの最新技術は持ってないのか...」

そうして1番酷い状況の場所へ全速力で向かうと。

「カラ!!」

ルヴラも扉から現れる。

「今どうなってる?!」

「分からない...。けど恐らくリノアとクゥロは対応してると思う」

「だろうね...」

中心に行けば行くほど、被害が酷くなっているのが分かる。

「凄い被害...」

そのまま向かっていると、クゥロとリノアに出会う

「っ!!クゥロ!リノア!」

「カラ!」

「カラ様!?」

「どうして城内に?外に行ってたんじゃ」

「ルヴラの魔法道具を使ってここに瞬間移動した」

「...貴女そんなのも作れるの?」

驚愕するクゥロ。

「へへん!伊達に天才じゃないよ」

ドヤるルヴラ。


「中の状況は?」

「分からない...」

「わたくしも分かりません...」

「まだ中心に行ってないから...今は被害を抑えるので手一杯で...」

ここも燃えている...よく見ると奥までずっとだ...

「えと...じゃあ、ルヴラ、クゥロは人助けしてて。リノア。カラと一緒にこっちに来て!」

「...分かった」

「りょーかい!!」

「わたくし、カラ様とですか?!」

「当たり前だよ!リノアの力は戦闘向きだからね...!!」

「とりあえず、障害物は光魔法で吹き飛ばして!」

「分かりました!!」

崩れた壁等を光魔法で吹き飛ばすリノア。

これ...もしかして王室か?王室で事件が起きてるのか?そうだとしたら...かなりマズイことになるぞ

「カ、カラ様...!!この先の部屋は...王室以外ないですよ!?」

「...リュグラ王、ミューラ姫、無事でいてくれ...!!」

そして、王室の扉をそのままぶち開ける。


「ぐっ...!!」

そして衝撃的な光景を目の当たりにする。

「...リュグラ王!!」

「い、いや...兄様」

魔物がリュグラ王の首を持って空を浮いているのだ。そしてその光景に絶望しているミューラ姫。...そんなことは考えたくないが...。そう思い、ミューラ姫の前に立つ。

「ミューラ姫、大丈夫ですか?」

リノアはミューラ姫の安否を確認する。

「リュグラを離せ...魔物」

その魔物に嫌悪感を抱き、睨む。

「魔物...?我の名はブシュグレッド。ちゃんと名がある。その名で呼べ。童」

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