第7話 未来王国リュグシーラ
「見えたよ。皆。」
とクゥロは俺たちに伝える。
「やっとだ...」
「長かったですね...」
「うわぁ...凄い...」
俺たちは4日間歩き続け、やっと未来王国、リュグシーラ付近へと到着する。そして国の外観を見、呆気に取られる。絵に書いたようなSFの世界。ファンタジー全開のこの世界にこんな国があるなんて...
「この世界に合わなすぎでしょ...」
なんて呟きながら口角が上がる。俺も一応元は男だ...正直こういうのに興奮を隠せない...
「さ、行こ皆。もうすぐだよ」
そうクゥロは言い、俺たちはリュグシーラへと向かう。
「そ、それにしても凄いですね...」
リノアはあまりの凄さにちょっとだけ引いている。
「なんだろうあの素材...カラは知ってる?」
とルヴラはワクワクだ。だが...
「さぁ...元いた世界より技術が進んでるからわかんない...」
「本当?」
「うん...ホントにわかんないや...」
事実、本当に元の世界より技術は発達している。機械の力で人が空を飛び、電気や炎などとは違うエネルギーで機械が稼動している...
「本当にどうなってるんだろ...この国...」
マジで理解不能だ...どうやってこんな国を作ったんだ...
「そっかぁ...」
ルヴラは残念そうだが仕方ない...分からないものは分からないのだ。
「もう国に入るね。」
とクゥロが言う。
「長かったよ...ほんと」
文句を垂れるルヴラ。
「わたくし達は楽しかったですよ!ね!カラ様!」
「え?あ、うん...そうだね!」
急にリノアに話を振られ、困惑する。
「クゥロ姫。お待ちしておりました」
「お仲間さんも、お待ちしておりました」
と、門の前に居る護衛の2人が話しかけてきた。
「うん。ありがとう」
「護衛さんありがとー!」
「いつもご苦労さまです!」
「ありがとうございます」
俺たちは護衛の人にお礼を言いながら国の中へ入る。そして国の中の光景を見、またもや絶句する。
「ここが、リュグシーラ。通称"未来王国"だよ」
人が普通に空を飛び、車のような機械もあり...本当になんだこの国...うわドローンみたいなのもある...
「すごーい!!」
「これが...未来王国...」
「本当に未来王国だこれ...」
と感激していると
「あら」
数日前に聞いた声が聞こえる。
「やっと着いたのね。クゥロ姫。遅すぎて来ないのかと思っていたわ」
と嘲笑いながら言う。ミューラ姫
「遅かった?ごめんミューラ姫。貴女と違って私、ちゃんと歩きで来たから」
無表情ながらに言葉の節々に圧を感じる...
「えと...クゥロ様」
リノアが勇気を出してクゥロに話しかける。
「ん?どうしたのリノア」
「わたくし達はこの国の観光をしても良いでしょうか?」
「うんいいよ。私は今から国王に会いに行くから」
「タダでお兄様に会えると思ってるの?」
「ん?何言ってるの?ちゃんと承諾得てる。それに───」
「私自身がダメだって言ってんのよ」
「なんで貴女が良いかダメかって───」
「行こ?」
また2人は口論を始めたので、俺たちはその場を離れることにした。
「おほー!!」
どうやらルヴラは興奮状態みたいなので、とあることを提案してみる。
「ルヴラも1人で観光する?」
「うん!!そうする!!」
と言いルヴラは1人でどこかへと行った。
「えと...2人っきりですね...」
顔を赤らめながらリノアは言う。うーん...意図して2人きりにしたわけじゃないんだけどな...
「とりあえず観光しよっか...」
「...はい!!」
それにしても...本当にSFの世界みたいだな...ってかマジでそのまんまなんだけど...マジで映画みたいだ...
「あ!こっちの店に来てください!何か面白いものありますよ!!」
リノアがそう言ったのでリノアの方へ向かうことに。
「なんでしょう...これ...」
目をキラキラさせるリノア。
「これ...ホログラムじゃん...!」
すげぇ...本当に未来の技術だ...
「ホロ...グラム...ですか?」
「あぁ...これを現実で見れるとは...」
この目で見れる日が来るとは...と、感激していると、店員が近づいてきた。
「もしかしてこの国に来るの初めて?」
「はい...そうです...」
「えっと...」
「あたしの名前はウィグノ。ウィグノ・コスト・シュルギラ。ここの店長やってんだ。よろしくね」
と超笑顔で片手を前に出してきた。
「カラはカラ。カラ・ノソイア。そしてこの子はリノア。リノア・ラーンローザ」
こっちも挨拶せねば...と思い、手を前に出し、握手を交わした。
「よろしくお願いいたします...ウィグノさん」
「そんな堅苦しくなくていいよ、ウィグ姉とか気軽に呼んでくれ」
「この国に来たことないのならこの国の観光にいいところ教えてあげようか?」
「本当ですか?!」
「あぁ!」
とウィグノさんと長いこと話していると店の奥でチラッと顔を出してきた子が見えた。
「ん...?あの子は...」
とその子を見た瞬間、また隠れる。
「あぁ...この子かい?この子はシフィって言って、うちの子なんだけど...極度の人見知りでねぇ...気を許した人じゃないと喋れない子なんだよ...」
「そうなんですか...」
「あ、そうだ...リノア」
「ん?」
と2人で話をし、
「ねぇシフィちゃん...」
そう呼んでみるとシフィはひょこっと扉から顔を出す。
「一緒に遊ばない?」
と提案してみると、シフィはウィグさんの方を見る。ウィグさんは良いよ!とハンドサインをし、シフィはコクコクと小さく頷く。どうやら俺の予想は合ってたようだ...良かった...と思いながらもシフィに手を伸ばす。
「おいで、一緒に行こ?」
シフィちゃんに優しく微笑む。
「...!!」
シフィは嬉しそうに俺の方に向かってきた。やばい...無口で素直で後ろを着いてくる妹みたいで可愛いな...今にもトテトテって効果音がなりそうだ。
そしてシフィと手を繋ぎ。
「行こっか」
と言うとまたコクコクと頷く。
「...わ、わたくしも...!」
リノアも手を繋いできた。
「良いですか?」
「聞いた後に手繋いじゃってるじゃん...別にいいけどね」
「えへへ...」
そうして俺たちは3人で街を回ることにした。
「ところで、シフィちゃんは何歳なんですか?」
と聞くと、手を離し、ポケットから小さな機械を取り出す。なんだこれ...って思いながら見ていると、その機械は起動し、ホログラムが小さく表示される。
「うおっ」
と驚愕しているとそこには〝シフィは8歳だよ〟と文字が書かれていた。
「...8歳なの?」
コクコクとまた頷く。何だこの子クソ可愛いなと思っていると、ホログラムの表示される文字が変わる。
「お?」
〝シフィの事気持ち悪いって言わないの?〟
「え...。」
「何でそう思ったの?」
〝心を完全に許した人とじゃないと喋れないから〟
「気持ち悪いだなんて思わないよ」
当たり前だ...こんな可愛い子を気持ち悪いだなんて思うか。
「仕方ないよね、特定の人としか喋れないんだから」
〝ありがとう2人とも〟
俺とリノアは目を合わせた後、笑い。
「ううん大丈夫。」
「お礼されるほど何もしてないよ」
とシフィに対して言う。すると
〝ううんそんなことない2人とも優しい〟
とニコニコ笑顔でこっちを見る。
「...そっか」
「ありがとう。シフィちゃん」
と俺らはシフィを優しく撫でる。この感じ、恐らくこの子もルヴラと同じく、過去に何かあったのだろう...だから心を許した人としかまともに話せないのだろう...。と思いながら
「それじゃ行こっか!」
「れつごー!」
〝ごー!〟
俺とリノアはシフィと一緒にこの国を観光し、存分に楽しんだ。
「ふぃー...疲れた〜」
「何時間遊んだんでしょうかね...」
〝楽しかった!〟
シフィはとても笑顔だ。どうやら心の底から楽しんでくれたらしい。すると
「あ、いた...2人とも」
クゥロが来た。
「え?どうしたのクゥロ」
「何かありましたか?」
とクゥロに尋ねると
「王がカラに会いたいって...だから来て。」
クゥロに腕を引っ張られ、強制的に連れて行かれる。
「え、あ、ちょ...!?ええと...明日も遊ぼうね!シフィ!」
「...カラ様も帰ったし、シフィちゃんも帰る?」
コクコクと頷くシフィ。そしてリノアはシフィちゃんと会った店で分かれ、リノアもカラの後を追うことに。
「この方が...転生者...」
「うん...その通り。この子が転生者のカラ。」
「えと...」
未だに状況が呑み込めてない...。何故俺はここに呼ばれたんだ...
「こんなに小さい子が転生者...」
俺の本当の年齢は17ですよ...王様...などとは言えず
「えと...クゥロ...?これは...」
「あ、ごめんねカラ。これは」
「俺が説明しよう」
「...リュグラ王」
こ、この人が...リュグシーラの王なのか...随分若いな...いや、多分俺の方が若いんだろうけどさ...
「すまないな転生者カラ。要件も言わずにここに連れてきてしまい」
「い、いえ...別に大丈夫ですよ!!」
いやそれにしても顔良。イケメンすぎるだろこの国王...。
「要件はただ一つなんだ」
その一つが怖いな。
「何でしょう?」
「君の実力を測らせてくれないか?」
...ん?俺の実力を...測る??
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