第4話 残ってる
中学一年。
初めてヒメのお家で一夜を楽しく過ごしたよね。
その時にヒメ達から私はヒメとヒメのお兄さん…セイさんがご両親を亡くされて二人兄妹で暮らしてるって聞いたよね。
ねえ、ヒメ。
あの時にさ。
初めてヒメが13才の女の子から13歳の大人の女性になったあの日の朝。
私さ、何も知らずに入ってきたセイさんに怒鳴りつけちゃったよね。
「入って来ないでッ」って。
その時のヒメの顔。
すごく恥ずかしそうにそして私にちょっとキラキラした瞳で。
まるであの時、私を助けに来てくれたヒーローを見つめていた私みたいな瞳をしていたね。
でも私は私が味わったあの女性が異性には秘めていたい秘密を守れたんだ、って。
ヒメみたいに、綺麗なものだけを追い求めて助けてくれたヒーローじゃないんだ。
私は、ヒーローじゃなくて、王子様になりたいんだ。
貴女ーーーーーーお姫様のピンチにだけ助けに現れる、王子様に。
まだ、貴女の薬指に誓えてないよ。
16歳。
彼女とベールを纏い合い永遠を誓う筈の神様の子供が生まれた日を過ぎても。
この従者の無力な右手に誓いの指輪はもう一つ、残ってる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます