episode10.ジャンケン師

このお話はある男の報告である。




ジャンケン師、歌川広成氏は自称世界で最もジャンケンの勝率が高い男である。


歌川氏は小学生の頃からジャンケンにほとんど負けたことがなく、給食の余り物をかけたジャンケンでは全て勝利を収めてきた。ジャンケンが強いと確信したのは小学1年生の時であり、親、兄弟、友達など誰とやっても勝利を収めていたので中学生の時にようやくその才能の公表を始めた。

唯一、小学生時代にジャンケンで負けたのは川に飛び込む度胸試しの際であり、歌川氏はそれ以降、何があっても負けてはならないと心の底から思ったとのこと。

また、結局度胸試しには失敗しており友達からしょうもないやつと言われているのが心残りである。


また、某テレビ番組に出演した際に最強のジャンケン師として番組内に登場し、ジャンケンの強さを披露しようと思ったが、一度目のジャンケンで敗北を喫してしまいテレビの出演がお蔵入りとなっている。


歌川氏はジャンケンに命を捧げており、ジャンケンで勝つ方法は何かとインタビューを受けた際に「心の強さがジャンケンの強さだ」という精神論しか語っていない。


現在時点で歌川氏は人生で5度の敗北に喫したと発言しており、負けた相手の中には某有名芸人の名前が連なっている。



以上。

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