第9話 岡香里
「
慎ましく頭を下げる。
場所は和菓子とお茶を出す店。小上がりのテーブル席に四人。
「美少女じゃないか」
「はい」
やった。
「お嬢さん。悪いことは言わないから、こいつだけは止めておきなさい」
「俺もそう言っているんですがね」
「
香里君は、俯いた。
「私は、
「あれ、香里君!?」
「まあなあ…。国見のやつ、顔だけは良いからなあ」
香里君が、口元に手を当て笑っている。あれ、目尻に涙が。
「皐月兄ちゃんが格好良いので、私の許嫁が微笑んでいる…」
両手で、顔を覆う。うん、嬉しいが、複雑。
「はい?」
目を瞬かせている。
「私は、国見さんが良いと申しました」
泣いた。
「良かった。今日、皐月兄ちゃんをお姫さまだっこでここまで連れてきて良かった」
「ダウト!」こちらを指差す。「私は、研修医の車でここまで来た」
「そこから、おんぶしたのは俺だぞ」
「国見さんは、夢見がちですからね。きっと白昼夢でも見たのでしょう」
香里君が、るんるん気分である。やはり、皐月兄ちゃんの顔が良いから。
「これからも、もっと美少年を紹介してあげるからね!」
「お前は、自分の婚約者をどうしたいのだ」
皐月兄ちゃんは、困惑した声を上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます