一千夏、彼シャツを着る
一千夏視線:
生まれて初めて、“彼シャツ”を体験した。
しかも、わたしがこの世で一番いい匂いだと思ってる男の子のシャツだ。
“シーツ巻きつけ“をしてみたかったけど、
「日本人の女の子にはタッパもボリュームも足らないんだよ。たぶんみっともないことになるからやめとけ」
って、恭太郎のシャツを投げ渡された。うふ。うふふふふ。よき。
「ねえ、恭太郎。なんであんなに上手なの?キスもセックスも上手すぎでしょ?」
「えーと、怒るなよ。キスとツボははさすがに実地で教えてもらった。前戯は、自分の体が教材」
「ぷっ!」
「可笑しいよな。でも男女で感度は変わっても感覚は相似だってさ」
「いやいや、乳首とお尻の穴以外はそもそもないもんばっかじゃん」
「ないもんばっかって、膣と子宮くらいだよ、男にないのって。えっとな、まず思い浮かぶのはクリトリスとペニスだけど、似てるだけで体積に対する感度が違いすぎるからこれはパス」
「そうだね、クリちゃんならへたすりゃ突っついただけでイっちゃうこともあるだろうけど、ちんちん突っついていっちゃうのは…あははははっ」
「…次な。陰唇は、なんと陰嚢が相当するらしい」
「わお。でもそう言われてみると、絶妙だったね」
「…お尻の穴は共通だろ、もっともこれは試してないけど。乳首も共通。皮膚感覚も自分で覚えろって言われた。だいたい、性感帯なんて人それぞれだから、パートナーの反応見て工夫するのが当たり前だってさ。○○スポットも全員装備でもないらしいよ」
「…ぷぷっ、ご、ごめん、ありがと、ありがとね」
「どうせお前、俺が自分の体を撫で回してるとこ想像してるんだろうけど、やるとやらないじゃ大違いだぞ。自分の体なんだからさ」
「うん、ごめん。本当にありがとう」
「で、セックス自体は教本を参考にして今日が初体験」
「そこが絶対、ありえない。お前はエロゲーの童貞性豪かっつーの」
言いながら思い出した。あれは中学の時のグループ学習、職場体験で近くの工場に行った時のこと。
電線を半自動のストリッパって機械で剥いて、端子をかしめる工程のところで
作業自体はすごく簡単で行員さんの見本を見てすぐやらせてもらったんだけど、
合格だったのは恭太郎だけだった。工員さんに説明してもらうと不合格は端子のかしめ部分から突き抜けてる電線の長さとか、被覆と端子の微妙な隙間とか、そういう部分の違いだった。どこが違うのか全然わかんなかったけど。そういえばスカウトされてたな、恭太郎。あれ、実際アルバイトに行ったんだっけ?
それ以外でも、教本とかビデオを見てすぐ出来ちゃうのが恭太郎だった。すごく器用なんだ。
理解力とトレース能力が半端ないんだよ。
うちのお母さんも言ってた。
「恭ちゃんみたいな新人って、時々いるのよ。説明されてすぐできちゃう子。一方で数ヶ月かかって、70点くらいの人もいる。不公平よね、持って生まれた能力って」
「あと、教本書いた人の監修した地味ビデオな。全然エロくないけど参考になった」
「あんたって、とことん器用だね」
「で、俺のセンセイは先生は一千夏も知ってる人。河井音楽教室の南際いちこ先生だよ。高校に入ってから偶然、再会した。一千夏の事もよく覚えていてくれてたぜ」
「教室のうしろのソファで毎回“お待ち”してたもんね、次のレッスンの親子の隣でさ」
「キスはセンセイ直伝。ここまではセンセイ基準でぎり、セーフだって。あとマッサージとツボな。こればっかりはフィードバックなしで独習するのは無理だった。ゴメン」
「え、怒ってないよ。てか、怒れないもん。恭太郎、わたしこそ初めてをあげられなくてゴメンね」
恭太郎がきょとんとした。
────────────────────────
男子にも前立腺子宮(前立腺小室)がありますです。
痕跡だそうですけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます