一千夏、恋心芽生える(乙女度アップVer)

 ☆☆☆申し訳ありません。乙女度ブースト改稿いたします。それにともない、この回以降をいったん差し止めさせていだだきます。よろしくお願いします。




 一千夏視点:




 ─── きょ、恭太郎が、わたしの事、好きって言ったあー!



 パニクって家に帰ってきてしまった。


 考える。


 恭太郎の事は好きだけど、それは家族愛のようなものだ。


 恭太郎はやさしいし、わたしの話はちゃんとなんでも聞いてくれるし、すごく器用でいろいろ助けてくれるし、おいしい料理だって作れるし、けっこう慰めてくれるの上手だし。


 でも、恋愛という視線で恭太郎を見る事はなかったな。


 隣の、きょうだいみたいな、とても近しい男の子。


 恭太郎がセックスしようって迫ってきたら、できない事はないと思う。たぶんできる。

 その後の関係がギクシャクするのは勘弁だけどね。

 たぶんすればそれなりに楽しいだろうしもっと仲良くなれると思うけど、幼馴染としての関係は失うような気がしてならない。距離感は大事だ


 今、恭太郎と恋人のどちらかを選んで選ばなかった方と関係を切れ、と選択させられたら、たぶん恭太郎を選ぶだろうな。


 彼氏ならいなくなっても、たぶん一週間も落ち込めば諦めがつくだろう。

 恭太郎がいなくなるなんて、考えただけでゾッとする。


恭太郎は大事な男の子。

かけがえがない、存在


だけども、彼は幼馴染。

大好きだけど、恋人じゃない


むしろ、恭太郎は

わたしの大切な、きょうだい

だと思っている





 そんな認識が今日、ついさっき、ひっくり返った。






 今日、駅ビルで恭太郎に声掛けられた時、声は恭太郎なのに、見た目があまりに認識している恭太郎と違いすぎた。ギャップ抜きにしてもかっこう良かった。となりにいた大学生風の女の子ふたりも、ちらちら恭太郎を見てたしね。


 陰キャ丸出しの目隠れロンゲは、上手にバックにしてかき上げてあった。ワックス使い?ピン?

 いつもダサいと思ってた黒のセルフレームも、知的に見えた。


にかっと笑った歯並びが完璧だ。うん。

すごく、男っぽい。あご、思ってたよりがっしりしてんな。


 白にスモーキーなブルーストライプのこなれ感がある木綿のプルオーバーシャツ(歯磨きみたいw)に麻混っぽいパンツで足元は茶のスリッポン。シンプルだけどお洒落。メッシュバンドで本体が薄い紳士時計がブレスレットよりセクシーだ。大人の男っぽいよ。


 普段とのギャップがひどい。


 ここんとこ学校でしか見てないし、別段普通に陰キャしてたから今まで気がつかなかったけど、恭太郎のたたずまいは完全に少年から青年へと変わっていた。


 鍛えてるっぽい首と二の腕の筋感も、とてもかっこいい。


 クソみたいな彼氏と喧嘩別れしたばかりだからかもしれないけど、グラっと来たのは本当。


 恭太郎とお付き合いする。今ならありありだ。ビジュアルでころっと態度変えるなんてと思うけど。

 わたしは、そんな基準で男を選んできた面食い女なんだよね。






 ところが、そのバリュー絶賛上昇中の恭太郎がとても回りくどいやり方だけど、わたしの事が好きって、大好きだって告白してきたのだ。


 まて、大好きとはいわれてないかな。いや、『好き、それは、もう』って日本語は、『大好きだ』とイコールだよね。


 いきなりの不意打ちだった。頭が真っ白になって胸がドキドキして、顔も耳もたぶん真っ赤になってた。赤くて熱くなるって、アラームと同じだ。いたたまれなくなってその場を逃げ出したくなる、プチパニックを誘発するよね。


 で、逃げた。逃げ出した。


 今はわたしの家、リビングのソファだ。

 横倒しになって腕と股で恭太郎のyogeboをぎゅうぎゅう抱きしめて、無理やりに考える。


 ビジュアルはど真ん中。これはよし。


 恭太郎の人となり、大好きな所を思い浮かべる。

 器用で真面目でやさしくて、それにいつのまにか大人っぽくなってて。


 あれ?うわわ、あいつの事、今まで通り見ることが不可能になっちゃったあ。


 それこそスーパーダーリンじゃんか、なんとピアノも弾けるんだぜ、恭太郎ってば。


 いやいや、恭太郎だよ、見た目はイケメてるけど、大人っぽくなったけど、恭太郎ってたぶんチェリーだよ。


 もし彼女ができたら、あいつはわたしと距離置こうとするだろう。

 いままでそんなこと一回もなかったし。


 このゆるゆるのわたしだって一応できてるんだ、恭太郎がしないわけない。


 でも、それって。それってわたしと付き合っても全然OKってことじゃん。


 恭太郎と付き合う。付き合ったらたぶん相性は抜群にいいはず。で、つまんない事で喧嘩したり、なんでもないことで笑ったり、プレゼントを交換しあったり、抱き合ってキスしたり…。うわあ、妄想が止まんない!チルいアーチストのPVみたい。


 そしてお互い離れられなくなって恭太郎がわたしにプロポーズ。


 キャ───っ!すごいすごい、すごいぞ、わたしと恭太郎の未来予想図!!


 オラわくわくしてきた!


 よし。まず風呂だ。それで恭太郎ん宅に行く!ズドーンとぶつかっちゃる!


 風呂に入ってー、歯を磨いてー、かわいいパジャマを着てー。


 わくわくが止まらない。《ドリー・カム》の『喜!楽!めっちゃ愛してる!』が勝手に脳内再生されてる。


 よし、12時過ぎた。

《明日》になったからいいよね。


 付き合ってって、恭太郎に告げるんだ。

 今日、スーパーでスペシャルになる!












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