第3話『赤い服の少女』


 これはある時、甥っ子本人から聞いた話。


 その日、学校が休みだった祐介は、友人のAと一緒に近所のスーパーで買物をしていたそう。


 時間は18時過ぎで、そろそろ夜の帳が下り始める時間帯。


 お菓子やジュースを買い込んで、Aと並んでスーパーを出る。


 するとAは買い忘れがあったらしく、店の中へと引き返していった。


 なんとなく店内に戻る気がしなかった祐介は、その場でAの帰りを待っていた。


「いやー、ごめんごめん。お待たせ」


 しばらくして、両手に買い物袋を持ったAが戻ってきた。


 祐介がAに視線を向けると、彼のズボンをぎゅっと掴む、小さな女の子の姿が見えた。


 周囲はすでに薄暗く、その表情はわからない。けれど、その赤い服だけははっきりと見えたらしい。


「なぁ、それ、Aの妹?」


 明らかに違うとわかっていたが、祐介はそう問わずにはいられなかった。


「えっ?」


 問われたAが振り返るも、その時には女の子の姿は消えていたという。

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