第13話 お宅訪問(予定外)

 夕方。二人はその日のうちにメルースト邸を訪れた。


「いやあどうも、こんばんわ」


 玄関でエドがそう言うと、ジゼの目が少し細くなる。彼女の表情が変化するのは相当なことだ。


「すみません、こんな時間に」


 ヨライネがすかさず頭を下げる。空気を読んだのか、エドも紳士らしく頭を下げた。


「ご用件を」


 ジゼは相変わらずの冷たい調子でそう言った。

 ヨライネは顔を上げ、優しい表情で真っ直ぐに言った。


「解決をしに来ました」


 それを聞くとジゼは少しの間黙った。いつも通り感情は読み取れないが、ヨライネは彼女から、微かに重たい空気を感じた気がした。

 エドは、ジゼの魔力をじっと見つめていた。


「こちらです」


 そしてジゼは、いつかと同じように、何も言わないまま入室を促した。

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