第11話 コレクション

 これは、もう農家あるあるなのかもしれませんが、義母は、よく新しい軍手(庭仕事や畑仕事用の薄手のもの)を買ってきました。

 自分一人だけ買うのが申し訳無かったのか、私の分も買ってきてくれたり。


「え? 去年のめちゃめちゃあるから大丈夫だよ」

 そして、それは義母のものに。


 そういう理由だけではなかったのですが。とにかく、よく物をなくすのです。


 義母が入院して、義母の車を廃車にすべく、車内のものを片付けていたら、出てくるわ出てくるわ。コーラの箱1杯分の軍手。そして、帽子。

 帽子はともかく、軍手は、いろんなところからバラバラに出てくるので、どっかで落としたと思って、再度購入するんでしょうね。

 コレクションかな? と思うくらいありました。



 それから、鎌。

 鎌は毎年のように買うのです。

 義父が元気だった頃は、砥いで使っていたのですが、義父亡き後、そんな器用な事が出来る人がいなくなり。

 で。うちの連中は、「捨てる」ということを知らないようで、新しいのを買ってきたら、増える一方なのです。

 しかも、義母は、普通の鎌を2本、鋸鎌のこぎりがまと言われる刃がギザギザになっているのを2本、ちょっとそのへんを刈れる短い鎌を1本、以上は持っていました。


 先述の、車の中の片付けの時には、後部座席のポケットから、小型の鎌が出てきてびっくり! 義母様、銃刀法違反で捕まりますよ?(汗)


 鎌コレクターにも困ったものです。



 また、これも車の中から出てきたのですが、大量の小銭。バック2つにパンパンに詰まってました。振り回したら、ちょっとした武器になりそうな感じでした。

 中身は1円玉、5円玉、10円玉。郵便局で入金したらお金を取られるけれど、その頃は、まだ農協バンクは制限が緩く、1,000枚までなら無料で入金させてくれました。

 8,500円くらいありました。

 小銭コレクターでもあったんですね。



 それから、いろんなところから届く、おかずが入っていたのだろう、タッパー。

 わざわざ名前を書くような真似はしませんが、明らかに、うちのじゃないっていうのが返ってきます。いや、返って来る方が遥かに少ないので、なんだかんだ、家でコレクションしているはず。



 あとは、服ですね。

 義母は、人が「要らないから貰って」という服を断れない人。一時期、私も知らずにあげていたのです。

「私も○子(義妹)も、貰い物の服ばっかりで、新しい服なんて買ったことないんだよ」

 と言われれば、「服買うお金もないアピール」だと思うじゃないですか。

 違うんですよ! 貰い物が多すぎて、買うところまでいかない、という意味だったんですね。


 他人様の要らない服コレクターも、やめて頂きたかったです。



 義母が本当にコレクションしていたものは、招き猫やら、福を呼ぶフクロウやら、水晶やら、そういった、幸運を招くグッズ。うちの仏間の飾り棚に、所狭しと置かれておりますが……

 いつ、だれが持っていってくれるのでしょう。あれも悩みの種です。



 こんな感じで残されている、義母のコレクション。

 半身不随で認知症の義母には、もう必要ないものばかりなのでしょう。

 それでも、なんだか、処分するのも可哀想で、そのままにしている主人と私なのでした。

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