第3話 パワフル

 1年ほど前に離農してしまいましたが、うちは、酪農農家でした。酪農と、畑をやっていました。 


 私は身体が弱くて、家の中の仕事と草刈りくらいしかできず、全然役に立ちませんでした。

 それで義母が77歳まで、外仕事を頑張っていたのです。


 義母様は、145cm、38kgの、超ミニミニサイズの人です。その人が、大型ショベルやダンプに乗る。外からみたら、無人ダンプが走っています。


 また、牛舎では、(牧草の)乾草を2階から降ろし、それをそれぞれの牛に分ける。これがとんでもなく重いのですが、義母は、一箇所から、3〜4頭分の草を引っ張ってきて分ける。

 ちなみに、私がやると、1頭分持って行っている間に、他の牛に取られ、端っこの一頭に辿り着いた時には、半分に(汗)。義母は実にパワフルに、その仕事をこなしておりました。


 また、小型の冷蔵庫(2ドアで冷凍室が付いてるやつ)や、小型の全自動洗濯機(新生活応援くらいのサイズ)や、空だけど大きいタンスくらいなら、一人で軽トラに載せ、運んでいっておりました。

 

 蟻かな?


 見つけては手伝うのですが、知らないうちに軽トラに積み、買い替えに行ってる時とかあり、何故業者に頼まない? ……と。



 芋の出荷時には、うちの芋は冷食用と、でんぷん用に出荷され、生食用としては出回らないのですが、とても美味しい芋なので、2トンくらいだけ食用として選別して箱詰めして、家族や友達に送っていました。選別作業に時間がかかるし、元々生食用ではないので、きれいなのが3〜4割しかないのですが。

 私で大体10箱。200kg。

 義母は送るところも、あげるところも多いので、大体15箱、300kgと、飼料用の袋(20kg入る)で6袋くらい120kgをそれぞれ送っていたのです。

 

 市街地の中にある雑貨屋さんから送るのですが、これが重いので積み下ろしがとにかく大変なのです。で、積むときだけ義母に手伝ってもらっていました。


 が、義母は、私に手伝わさない。自分の体重の半分以上ある箱をすいすい積むと、市街へ、そしてあげるところへと持っていくのです。

「出荷かな?」って量を一人で……。


  

 とにかく力が強く、今も使える方の手でベッドの枠を掴んで、乗り越えようとするので、握り防止のミトンをつけられています。

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