第91話

「殆んどの攻撃は、1~20のダメージに抑えられるが。


そのぶん、基本HP生命力は多くないっ!


大技で攻めずに、小技を連打するか。 通常攻撃での連撃が効果的だ!」


そう、オオガネモチィーの防御値は桁違いに固くて。


防御力無効化の特性オプション付きの武器でもない限りは、ほぼ全てのダメージを1~20にしてしまうのだ。


今現在の、オオガネモチィーの残りHPは、HPゲージの5分の4ほど。


カインも攻撃速度の遅い大剣ではなく、攻撃速度重視のレイピアを使用しての通常攻撃での連撃をメインに戦っている。


「問題ないっ! 強斬撃スラッシュ! 二連強斬撃ダブルスラッシュ!」


サクラの片手剣が閃き、斬撃スキルがオオカネモチィーにヒットして、オオカネモチィーのHP生命力ゲージをゴッソリと減らす。


オオガネモチィーのHPを大きく削った、サクラの武器に花騎士フラワーナイトギルド以外のメンバーの視線が集まる。


「ったく! 相変わらず、馬鹿みたいなダメージ数値を叩きだしてくれますねっ!」


カエデが、サクラに文句を言いながらも右手に片手剣、左手に短剣を装備してオオガネモチィーに通常攻撃での連撃を繰り出している。


通常攻撃なのに、カエデの攻撃は物凄い速さで、オオカネモチィーのHPを削り取っている。


*注意*

*デユラルウェポン(片手武器を両手に装備)が無い、現在での利き腕設定以外に武器を装備しても与えるダメージは1だけ。



「一気に勝負を決めますよっ!


メインATアタッカーは、サクラと、カエデ!


その他の人は、とにかくNMネームドモンスターの足を止めることに集中して下さい!


吟遊詩人バードの方は、雑魚のタゲ外しを お願いします!」


ツバキが声を上げて、私たちに向かって言う。


 

* * 2分後 * *



ツバキ達が参戦するまでに、私たちとアラン達で5分以上かけてオオカネモチィーのHPを5分の1減らした苦労がなんだったのか解らないくらいにアッサリと……。


そう、本当にアッサリと、オオカネモチィーは地面に死体を残して消えていた……。。


オオカネモチィーの死体を解体して、NMネームドモンスター討伐成功報酬資金のゴールドを回収する。


回収したゴールドは、1人頭683万5961ゴールドの小切手と為って、アイテムストレージに入った。


「いやぁ~、楽勝でしたね。」


と、カエデ。


「いつも通りだ。」


と、サクラ。


「………………。」


花騎士フラワーナイトギルド以外のメンバー。


「討伐、お疲れ様でした。」


ツバキが、私たちを見ながら言ってくる。


「あ、いや。お陰で助かった。」


アランが、言葉を詰まらしながらも返事を返す。


「防御力無効化武器と、固定ダメージ追加武器か……。」


カインが、サクラとカエデの持つ武器を見ながら言う。


「魔剣ティルフィングだ。」


カインの言葉に、サクラが答える。


「げっ! 呪われたカースアイテム。」


サクラの言葉に、小次郎が反応する。


呪われたカースアイテム★

*ユニーク級武と同じ位に強力な道具アイテムだが、装備すると呪われる。

*装備すると、装備の解除が出来なくなる。

*呪いに掛かると、ステータス異常や、何かしらのペナルティーを付け加えられる事が多い。

    


「何の〝呪い〟が掛かっているんだ?」


「………………。」


アランの言葉に、沈黙で返すサクラ。


「あっと…。スマン。 対人要素の多いUSOで答える訳がないわな。」


軽く頭を下げるアラン。


「・・・別・・・の変・・・だ・・・」


聞き取れないくらいの小声で、サクラが何かを言った。


「んっ?」


よく聞き取れなくて、アランがサクラに聞きなおす。


サクラ以外の花騎士フラワーナイトメンバーは、何故か必死に笑いを堪えるように我慢している。

 

サクラは〝キッ〟っと、ツバキ達の方へ視線を向けると強く睨みつけた。


サクラの視線を受けて、ツバキ達4人は必死に吹き出しそうになるのを堪える。


「えっと、別に無理に教えてくれなくても良いんですよ。」


ラクスが、サクラに気を使って言う。


「別に〝呪い〟のペナルティーを言うのに支障はないのよね……。。


ただ、恥ずかしいってだけで……。」


野太い声で答えるサクラ


《あれ? 口調が変わった?》


私が、そう思っただけなのかと、花騎士フラワーナイト以外のメンバーに視線を向けると。


やはり、何となく微妙な表情をしていた。


そして、やはり。


サクラ以外の、ギルド:花騎士フラワーナイトのメンバーは、必死に笑いをこらえている。



「魔剣ティルフィングの〝呪い〟はね。


【性別の強制変換】による、アバターの見た目の強制変換なのよ……。」


野太い声でサクラが答えて、身体をくねる様にモジモジさせる。


「プッッ! ププププっ!」


「あはははっ! 無理! もう無理!」


「サクラちゃん。 マジ、キモかわゆす!」


「ぷっ、わらっちゃ ぷぷっ。ダメよっ! ぷっぷ。


サクラだって、気にしてるんだから! ぷぷっ。」


リリオペ、ヒノキ、カエデ、ツバキが、笑いを堪えきれずに吹き出す。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る