第76話

「うわぁ、レイスですか。アレ、嫌いです・・・」


けいも嫌そうな表情で同意する。


「しかも、レイスを200体よ。


200体! 溜まったもんじゃないわよ!」


「うっ・・200って・・・」


「最低でも、10人でフォース組んでいかないと。


パーティーじゃきついわね。


もしくは、パーティーに吟遊詩人が1人か2人は居ないと。」


「えっ!?もしかして、亜里亜さん達って、身内だけでレイド討伐に行くタイプですか!?」


けいの言葉に、亜里亜が。


【当たり前でしょ?】


と、言いたげな表情でけいを見る。


「いえ、普通は。


2パーティーでフォースを組むか。


外部から募集するのが普通だと思いますけど・・・」


「私と、イクルと、ガイに、ミリアさんとキョウだよ・・・。


外部の人達が、一緒に行きたがるとお思う?」


「あっ・・・・え~~~と・・・・それは、その・・・・」


亜里亜の言葉に、けいは返事を、どう返して良いのか判らずに言葉につまる。


自己中で、自由人の塊が5人・・・・。


「私たちと、一緒に行きたがるなんて。


余程の物好きか、変わり者のドッチかね。」


笑いながら亜里亜が言う。



《自覚はしてるんですね・・・・》


けいは心の中で思った。

 

「私達が、譲歩するのは。 ワールドレイド討伐の時くらいね。」


*ワールドレイド*

*レイドの種類は3種類。

*レアレイド。レジェンドレイド。ワールドレイド。


*レアレイド。1~2パーティーで倒せる程度の強さ。討伐されると24時間後にPOPする。


*レジェンドレイド。1~3フォースで倒せる程度の強さ。討伐されると7日後にPOPする。


*ワールドレイド。上級プレイヤーが数百人単位で行かないと討伐不可能なレイドボス。

POP(沸く)する周期時間も一番長く。討伐後14日後にPOP(沸く)する。

*ただし、ドロップできるアイテムは。サーバーレアに匹敵する貴重なアイテムを落としてくれる。



「どうしても、取りに行きたいなら。 イクルに頼んみるけど?」


「うぅ~~~ん・・・・・」


亜里亜の言葉に悩むけい


魔法書は欲しい。


15個用が2個有れば。


支援職バッファー用と回復職ヒーラーで使い分けれる。


「お願いできますか?」


さんざん悩んでけいが言う。


「良いわよ。


それに、魔法職なら、どの道レイド討伐に色々参加しないとね。


ちょうど、良い経験になるし。」

 

「ですね・・・魔法スキルを取りに行かないといけませんし。」


USOでは、NPC売りの魔法書以外にも。


レイド討伐でのドロップする魔法スキルが在る。


NPCで売られている魔法スキルは、基本の魔法スキルだけで。


広範囲に効果の在る魔法スキルは、レイドを狩りドロップして手に入れないといけない。


しかも、レイドからドロップした魔法スキルはトレードが出来ない仕様だ。


「そう言えば、レイドからドロップする。


魔法スキルを取るシステムって。


どういう仕組みなんですか?」


「ん。先に、そこに目を付けるなんて。 流石はけいちゃんね。」


そう言って、亜里亜が説明し出す。



「討伐に参加して、レイドを倒すでしょ。


討伐が成功した時に、そのレイドから取得できる魔法スキルを自分で選べる仕様なのよ。」


「へぇ~。」


「だから、欲しい魔法書によって。


レイド討伐PTの募集を書ける人も沢山居るわよ。」



「あれ?でも、今は15個用の魔法書が枯渇気味なんですよね?」



「それは、ほら。


サービスが始まって半年経ってるでしょ。


USO自体が安定期に入っちゃってるのよ。」



「ああぁ、成る程。」



「アップデートされたら、また何かと相場が動くし。


今は何処も資金稼ぎと、素材集めに集中してるってところかな。」



*アップデート*

運営がプレイヤーを飽きさせない様に、一定の期間ごとに。

新たな大陸やダンジョン、モンスターに職業などを追加するシステム的な改良の事。



「確かに、サービスから半年だと。


そろそろ、初期プレイヤーの装備が一定に成り始める頃ですね。」


「う~~ん。けいちゃん、理解が早すぎ!


なんで、USOを最初からプレイしてなかったのか不思議に思ちゃうよ。」


「受験勉強中でしたので。」


「それは、乙でした。」


「いえいえ。」


「で、受かった?」


「はい。」


「と、言う事は。 他の4人も同じ学校になるわけだ。 同級生だし。」


「はい。 一応、ピカピカの1年生です。」


「それはそれは、初々しいねぇ~。」


「亜里亜さん、発言が年寄りくさいです。」



「うっ・・・20代半ばになると。


けいちゃんも理解できる様になるから。


それこそ、嫌でも・・・・。」


「そう言うもんですか?」


「そう言うものです。」


「ふふっ」「あはっ」


2人が声を出して笑う。

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