第71話


* 蒼夜 カナタ シャナ *


今現在。


俺と、カナタと、シャナの3人は。


ガイさんに、ウェポンスキルの事を教えて貰う為に屋上にいる。


「ウェポンスキルの事は、イクルから何処まで聞いた?」


ガイが、俺たちに聞いてくる。


「ウェポンスキルが或るって事だけです。」


「ったく。アイツは、俺に丸投げか。」


「スイマセン・・・・・」


「いや、君たちが悪い訳じゃないから。


気にするな。 俺も、本気で嫌なら断っているから。」


俺が謝ると、ガイが取り繕ってくれた。


「最初に言っとくが。


俺に出来るのは、スキル構成を教える事と。 ウェポンスキルの数種類の性能くらいだ。


俺は純正の戦士仕様で構成しているからな。


自分が、使えないウェポンスキルの事は分からない。


3人の中で、純正の戦士を目指しているのは誰だ?」


ガイの言葉に、カナタとシャナが手を上げる。


「蒼夜は、他に何を取った?」


「俺は、魔法のジョブスキルを。」


「ふむ・・・。 そうなると、魔法戦士に為るのか。」


顎に手を当てて、ガイが悩みだす。

 

「まぁ、それは、置いておく。俺も詳しくないから分からん。」


ガイの言葉に、蒼夜そうやのテンションは、一気に下がってしまった。


「そんなに、ショボくれるな。後で、俺の知り合いの、魔法戦士に頼んでやるから。」


そう言って、腰に帯剣してる鞘から剣を抜き。


「カナタ。今から決闘デュエルを申し込むから。OKしてくれ。」


「ちょ!俺なんかじゃ、ガイの相手になるわけないでしゅ!」


余程、慌てて居たのか。カナタが噛んだ。


「なに、別に本気の決闘デュエルをする訳じゃない。


ウェポンスキルが、どんなものか。 実際に見せる為だ。


それとも、女の子のシャナに変わってもらうか?」


ガイの言葉を聞いて。カナタとは対照的に、シャナの目は【やりたい!】と訴えていた。


「やりますよ!」


カナタが、ガイの方に向かって踏み出す。


ステータスウィンドウを開いて、カナタに決闘デュエルを申し込むガイ。


カナタも、ステータスウィンドウを開き。決闘デュエルのOKのボタンを押す。



USOでは、決闘デュエルをする時。


一般のフィールドの上で戦う為に、カウントも特殊なフィールドも何もない。


屋外での決闘デュエルは、そのまま戦闘に繋がる。


普通は、闘技場などで決闘デュエルをするのが一般だ。


ただ、4人が今いる場所は。 イクルの所有しているマイハウスの屋上。


屋上なのだが、USOの仕様上。屋内ではなく、屋外扱いなので。


どれだけ、攻撃し合っても。下の階にも、屋外も被害は出ない。


「カナタ、武器を構えてくれ。


今から、ウェポンスキルを使うから動くなよ。」


「うぇ・・・はい。」


何か言おうとしたが。


教えて貰っている立場なので、言葉を飲み込んだようだ。


ガイは、カナタの方に近づいて剣を振るう。


一瞬、カナタが反応して、動きそうになったが。我慢しきれたようだ。



そして、ガイの剣が、カナタの持つ剣とぶつかる。


一瞬だけ、ガイの振り降ろした剣が鈍く光る。


剣と剣が、ぶつかる音が聞こえ・・・・・・ない?



「あれ?」


ガイの、剣を受け止めようとした、カナタ自身も不思議そうな顔で、自分が剣を持っていた筈の右手を見ている。


カナタが手にしていた武器が、いつの間にか消えていたからだ。


「カナタ。ストレージを開いて見てみろ。」


ガイに言われて、カナタがステータスウィンドウを開き、アイテムストレージを見ると。


「あれ! 武器がストレージに入ってる!? なんで!?」


困惑するカナタと、俺とシャナ。




「これが、ウェポンスキルだ。


名前は【ウェポン・リムーバ】。


強制的に、武器を解除させて、ストレージに戻すウェポンスキルだ。」


「「「おおおぉおおぉお!!」」」


「使用出来るのは、対人戦と、武器を手にしているモンスターにだけ効果がある。」


「すっげぇ!」


感動するカナタ。


シャナを見れば、同じく感動と言うか。


早く覚えたいと言う表情だな。これは。


「因みに、このウェポンスキルなら。蒼夜も覚えれるぞ。」


「本当ですか!」


「あぁ、嘘を言っても仕方がないだろう。」


「良かったな!蒼夜!」


「良かったですね。蒼夜。」


カナタと、シャナが一緒になって、蒼夜そうやに言ってくる。

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