第67話 サイド・ストーリー

サイドストーリー:ミリア


 * * *


「俺たちの、ハウスだ!」


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「あらあら、大きな家ですねぇ~~」


何故か、私と。家の土台を建てた、イクルさん以外の人は無言で固まっています。


「お前・・・・・城を買ったのか?」


体格の良い男性。ガイさんと言ってましたね。


ガイさんが、家の土台を見ながらイクルさんに訪ねています。


「大きい家を買うとは思っていたけど・・・・・流石に、これは予想外だわ」


亜里亜アリアさんが、呆れた様子で言っています。


「だな・・・良く、貯めたな・・・金。」


柄の悪く見える男性。キョウさんが言っています。


「素敵なハウスですね。」


私が、素直な意見を言うと。


「これも、ミリアさんが。お金を貸してくれた御蔭です!


本当に、有り難う御座います!」


イクルさんが、再度、深く頭を下げてきた。


「俺に出来ることなら、何でもしますので。遠慮なく言ってください!」


何でもと言われても・・・・・私は、たった少しの30万ゴールドを貸しただけなのに・・・。


「私は、お金を返してくだされば、それで良いので。


貴方達の家なんですからねっ。」


と、私が言うと。


「なに言ってんですか?


ミリアさんから借りた、お金で購入できたんですよ?


ミリアさんも、この家の住人なんですからね!」


「はい?」


「OK!この家は、俺たち5人の物だ!」


私の言葉の意味を履き違えた様で、イクルさんは物凄く良い笑顔で、私たち4人の顔を見る。


「あの、今の、はい?は、ハイのハイではなくて・・・。」


「えっと・・・諦めてください・・・ミリアさん。」


亜里亜さんが、申し訳無そうに私に言う。


「あぁ、なったら最後。イクルはテコでも意見を曲げませんから。」


ガイさんが、私に言います。


「迷惑でなければ、一緒に、暮らさない?


どうしても、嫌なら断ってくれてもいいけど?」


ポリポリと、頭を掻きながら。私に聞いてくるキョウさん。


柄の悪そうに見えるキョウさん。実は、不精なだけ?


「あの、私なんかで良いんですか?」


「イクルが決めたんですから。私達に文句はありません。


ミリアさんが、ご迷惑で無ければ。


是非、私たちと、一緒にUSOライフを楽しんでみませんか?」


イクルさんと言う男性。どうやら、余程、この3人に信頼されているようですね。


ゲームの中とは言え。此処まで、言ってくれる人がいらっしゃるなんて。



「|不束《ふつつか」者ですが。宜しく、お願い致します。」


私は、そう言って。深々と頭を下げる。


「ちょ!ミリアさん!嫁入りするんじゃないからね!?」


キョウさんが、声を大きくして言います。


「イクルは、渡しませんから!」


亜里亜さんも、声を大きくして私に言います。


「改めて、宜しく。」


ガイさんが、私に言います。


「宜しく。ミリアさん。」


イクルさんが、そう言いながら。私に手を差し伸べてきます。


「私、こう見えても。子持ちの叔母さんですよ。」


ニッコリと微笑みながら、イクルさんから差し出された手を握る私。


「関係ない。ゲームの中でのゲームを楽しむ仲間。それだけ。それ以上でも、それ以下でもない。でしょ?」


「おう。」


ガイさん。


「私は、リアルでもイクルの幼馴染だからね!」


亜里亜さん。


「ま、腐れ縁だからな。」


キョウさん。


「素敵な、お友達ですね。」


私が言うと。


「今日からは、ミリアさんも、仲間ですよ。」


そう言って、イクルさんは。握り締めた拳の中から、親指を上に向けて立てる。


サムズアップとか言うヤツですね。


私も、真似て。笑いながらサムズアップをする。


これが、私と。イクルさんの出会いでした。

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