第65話 サイド・ストーリー

サイドストーリー:ミリア


 * * *


私の名前はミリア。


アルティメット・スキル・オンラインを始めて、2週間目のプレイヤー。


メインの職業は、錬金術師アルケミストです。


リアルでは、平凡な主婦。


夫に、子供が1人の家族構成。


夫は、只今。長期の出張で国外に。


夫のプレゼントで、ヴァーチャル・ドリームを貰い。最初は、擬似旅行を楽しんでいましたが。


ある時に、息子が購入した【ULTIMATEアルティメットSKILLスキルONLINEオンライン】を知りました。


息子に「面白い?」と訪ねたら。


「うん。母さんもやってみる?」


と言って。ソフトをプレゼントされました。


戸惑いながらも、アルティメット・スキル・オンラインを初めて見ました。


そして、ゲームの世界に魅せられて。気が付けば、スッカリ虜に成っていました。


もともと、何かを作るのが好きだったので。


最初は、調理の職業ジョブを取りました。


そして、好きなアニメが、錬金術を使う主人公だったので、思わず錬金術師アルケミスト職業ジョブも取ってしまいます。


戦闘は苦手でしたが。


街中でパンを焼いて売ったり。薬を作って売ったりして。


USOライフを自分なりに楽しんでいました。


そんな時でした。


街の銀行預り所で、荷物整理をしていた時でした。


「うぉぉぉぉぉぉ!!!


30万たりねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


大声で叫び、床に手を付きながら。今にも、泣きそうな表情で落ち込んでいる人がいます。


《どうしたのかしら?》


と、思っていると。


「だれかぁぁ~~~~!!


誰でも良いから!


30万ゴールド貸してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!


物凄く大きな声で叫びながら、両手を空に向けて叫んでいます。


「ちょっと!恥ずかしいでしょ!止めなさいよ!」


叫ぶ男性の横に立つ、女性が男性をいましめます。


「うおおおおおおおおおお!諦めきれるか!後30万なんだぞ!」


「ハウスくらい、何時でも購入できるでしょうが!恥ずかしいったら!」


どうやら、マイハウスを購入したいけど。


後、30万ゴールド足りない様子です。


私は、その男性のそばに行くと。


「あの、宜しければ。お貸ししましょうか?」


男性は、私の言葉に。何故か、私を見たまま固まってしまいます。


「そんな、見ず知らずの人に・・・」


女性の方が、何か言おうとしますが。


「本当に!マジで!お願いします。是非!お願いします!!」


男性の方は、物凄い形相で、私の手を握り、頭を下げてきました。


「ちょっ!イクル!アンタ本気なの!?知らない人だよ!」


「やかましい!知らないなら、亜里亜アリアがフレンド登録しとけ!とにかく、お姉さん!

お願いします!一刻を争っているんです!貸してください!!」


男性の方。イクルさんの鬼の様な形相に気押されて、少しビクビクしながらも、30万ゴールドを渡します。


「ありがとう!! 亜里亜アリア!その人を逃がすなよ!!フレンドしとけよ!!」


それだけ言うと、イクルさんは、物凄い速さで走り出していきました。


凄いですね・・・どれだけ、素早さを上げれば、あれだけ速く走れるのでしょうか?


などと、思っていると。

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