第64話

 

「それを、考慮しても。恐らく、3~4ヶ月は掛かるかと思います。」


けいが発言する。


「楽観的に見ても、最速で2ヶ月ね。」


シャナが付け加える。


少しの間、沈黙の空気が流れる。


「我慢できない、期間でもないよな・・・」


蒼夜が発言する。


「でも、断る利点の方が少ないよ。」


シャナが言う。



「そうね。亜里亜さんは、OSオリジナルスキルホルダーだし。


ガイさんは、勢力戦ランキング1位の人だし。


キョウさんは、USOで唯一の古代ハンマー100の所持者だし。」


「えっ!マジで!?」


沙耶さやが言った言葉に、カナタが驚きながら聞き返す。



「そうよ、名前で気が付きなさいよ。」


「だって、俺、鍛冶屋じゃないから。」


「ミリアさんって人も、確か結構有名な錬金術師アルケミストですよ。」


けいがミリアに付いて語る。


「そして、USOツヴァイ鯖で唯一の、キャッスルタイプの個人所有者のイクルさん。」


シャナが、呆れるように言う。


5人の視線が、イクル達5人の方に向けられる。


「「「「「はあぁぁぁぁ・・・・・・」」」」」


5人の溜め息が、完璧な迄に重なった。


溜め息が重なり。4人の視線が蒼夜に集まる。


4人の視線を受けた蒼夜は、無言のままイクル達の方に向かう。



「ん?決まったのかい?」


蒼夜を見て、イクルが尋ねる。


「はい。決まりました。」


意を決したように、蒼夜がイクルに言う。

 

「ハウスを間借りさせて下さい。」


「OK。喜んで。」


蒼夜の決意に反して、軽く返事を返すイクル。


「でも、すこしだけ。ギルド設立を待ってください。」


「ん?なんで?」


笑顔のまま、蒼夜に聞き返すイクル。


「ギルド石を購入するのに、僕たちの貯金では少し足りないので。貯まり次第に購入して設立します。だから、・・・」


「〝コレ〟を使って。」


そう言って、イクルが蒼夜の言葉を遮り。キョウから渡された、丸い玉を蒼夜に見せる。


「・・・・・・・」


丸い玉を見て、蒼夜が固まる。


「使わないの?」


イクルが手に持つ〝それ〟は、ギルド設立の為に必要な玉。



通称、ギルド石と呼ばれる物だった。

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