第62話

 

そうこうしている内に。


部屋のドアが開かれて、ソフィアと共に、1人の女性が入ってくる。


「イクル君。 呼んだ?」


「ミリアさんも来たし。これで、全員揃ったね。んじゃ、本題に入ろうか。」


「イクル!まずは状況を説明しろ!」


キョウが、イクルを睨み付けながら声を上げた。


「だから、それを今から説明するんだよ。黙ってるように。」


イクルは、自分が座っていたソファーから立ち。ミリアに座る様に指差す。


ミリアは黙って、イクルの指示通りにソファーに腰掛ける。


「ミリアさん。紅茶で良かった?」


「はい。ソフィアちゃん。お願いね。」


「畏まりました。」


ソフィアが、ミリア用に紅茶を淹れて、テーブルに置く。


イクルは、今まで座っていた、椅子の後ろにある机の上に腰掛ける。


「んじゃ、まず最初に。蒼夜そうや君たちに聞くから。他の皆は黙っててね。」


イクルの言葉に。亜里亜、ガイ、キョウ、ミリアの4人は頷いてみせる。


「さて、蒼夜そうや君。君たちに質問が在るんだけど。」


「はい、何でしょう?」


蒼夜が代表で答える。


「君たち、ギルドを作る気はない?」


「はえっ?」


イクルの前で、迂闊にハイと言うと、了解だと取られてしまうのを学んだ蒼夜。


危うく、ハイ?と言いかけたが、何とか言葉を持ち直した。


「ギルドをつくるも何も。俺達はハウスを持っていませんよ。」


そう、ギルドを作るには。最低条件として、どんなに小さくても良いので。ハウスを所持しているのが絶対条件。


今現在の、キャッスルタイプを所持しているギルドも、元は小さなハウスを購入し。


そこから、全員で資金を投資収集して、キャッスルタイプのハウスを購入しているのだ。


「だろうねぇ~。おっと、別に馬鹿にしている訳ではないよ。


USO歴が浅いのにハウスを所持していたら、逆にビックリだかね。」


心の中で、1ヶ月でキャッスルタイプを購入したアンタはどうなんだ!と。


盛大に突っ込みを入れたのは、蒼夜だけではないと思う。


「そこで、質問なんだけど。蒼夜君達はギルドを作る気はない?有る?」


蒼夜そうやは、沙耶さや、カナタ、シャナ、けいの顔を順に見る。


「俺は、作ってみたい。」

カナタ。


「アタシも・・・・」

沙耶。


「私も。」

シャナ。


「同じく。」

けい


「俺の推測だけど。君たちは、同級生。


もしくは、他のオンゲー仲間だと思うんだけど。」


イクルの言葉に、5人の表情が驚きに変わる。


「なんで、そう思うのですか?」


「ん~。ドレイク相手の戦い方が、連携が取れ過ぎてるんだよね。


余程、相手を信じてるか、付き合いが長いかのドッチかだ。


そういう、戦い方だった。」


「同級生で、ゲーム仲間です。」


「うん。で、答えは?」


「資金が集まれば、作るつもりでいます。」


「OK。で、ここからが、本題だ。」


そう言って、コーヒーを口に運び、喉に流し込み。話を切り出すイクル。


「ギルドハウスとして、此処を拠点にする気はない?」


「はい?!」


言った後に、【しまった】と言う顔をする蒼夜だが。


「大丈夫、今のはノーカンにして置く。」


「言ってる、意味が分かりません。」


蒼夜の言葉に、イクルが話を続ける。


「このハウスは、1階と2階は売り場として開放してる。それは、知っているよね?」


「はい。」


「3階は俺のプライベートフロア何だが。


実際は、俺と、亜里亜と、ガイと、キョウと、ミリアさんの5人での共用フロアなんだね。」


そう言って、再びコーヒーを一口飲み、話を続ける。


「3階の右側のエリアは、俺たちの個人での部屋も在るんだけど。左のエリアの北東の部屋が空いていてね。」


部屋と言っても、北東の4分の1を占める部屋だ。



「そこの北東エリアを、ギルドハウスとして、提供してあげても良い。」


イクルの出した言葉に蒼夜は勿論。他の4人も顔を見合わせる。


「勿論、貸し出し料金は取ったりしない。


部屋の内装も、好きにしてくれても構わない。


内装は、キョウに頼めばやってくれる。


内装資金も、ハウスに入れてる共用資金を使ってくれて結構。」


「それって、イクルさん達に利益がないじゃないですか?」


そう、今の条件だと。イクル達には、全くと言って良い程の利益が無い。


利益が無いどころか、損失しか無い様に聞こえる。


「うん。だから、2つだけ条件がある。」


「どんなですか?」


「1つ目。君達のギルドに、俺たちも入れてくれる事。」


蒼夜達にすれば。むしろ、願ったり叶ったりだ。


「2つ目。ギルドには入るけど。俺達には不干渉を貫いて欲しい。」


イクルの言葉に、どういう反応をしていいのか困っていると。

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