第59話

【会いたい。すぐに来て欲しい。】


これだけ書いて、メールを送る。


と、10秒後に。部屋の中にイキナリ人影が現れたかと思うと。


物凄い勢いで、イクルに向かって迫る。


「やっと、その気になったのね!イクル!」


「んな、訳あるか!」


自分に向かって来る人物の前に、イクルは右脚を上げて向かえ打つ。


イクルに向かって、突進していた人物は、見事に顔面をイクルの右足にのめり込ませた。


「ちょっとぉ~。酷いじゃないの!」


「文句を言う前に、周囲を見ろ!客が居るのが分からんのか!お前は!」


突然現れた人物の行動に、唖然とするしか反応できずに固まる5人。


現れた人物の容姿は。


髪は金髪でセミロング。


全体的に軽くウェーブが掛かっている。


瞳は黒。


スタイルは・・・モデル並みの、ボン!キュッ!ボン!


服装はと言うと。


ライトグリーンで纏めた、レザーメイル系。


最後に、白いマントを羽織っている。


ただし、露出は結構多い。



「あら?どこで取ってきたの?可愛い子達ね。」


「人をテイムしたみたいに言うな!最近、知り合った子だよ。」


若干、引きつり顔で頭を下げて挨拶する5人。


 

「こいつは、亜里亜アリア。これでも、USO内では〝ソレナリ〟に有名な魔法使いのプレイヤーだ。」


「亜里亜よ。宜しくね。」


5人の方を見ながら、ウィンクして名前を述べる。


そんな中、けいが亜里亜を見ながら、声を震わせて聞いてくる。


「あの・・・亜里亜さんって。〝あの〟亜里亜さんですよね?」


「あの亜里亜が、どの亜里亜か解らないけど。この文字の亜里亜は私だけの筈よ?」


ニッコリと微笑みながら、けいに向かって答える亜里亜。


それを聞くと、けいはソファーから立ち上がり。アリアの元に向かう。


「感激です!〝あの〟亜里亜さんに、お会いできるなんて!握手して貰ってもいいですか!?」


目をキラキラ輝かせながら、けいが亜里亜に握手を求める。


「いいわよぉ~。握手くらいなら、いくらでもしてあげるわよぉ~。」


差し出されたけいの手を、亜里亜は握り返す。


「有名人?」


小声で、蒼夜に尋ねるカナタ。


「俺が知る訳ないだろう。」


「亜里亜はね。OSオリジナルスキル所有者ホルダーなんだ。」


カナタと、蒼夜の会話に。イクルが答える。


 

【オリジナルスキル】



USOのウェポンスキルには、数種類の組み合わせのコンボが在る。


この、ウェポンスキルの組み合わせを使っていると。


数万分の1の確率で、コンボではなく。進化する事がある。


更に進化したスキル同士を連続で使用すれば。


これまた、数十万分の1の確率で進化する時がある。


これが【OSオリジナルスキル】と呼ばれて。


最初に、発動させた人にしか使いこなせない特殊なスキルとなる。


亜里亜はUSO内で、一番最初にオリジナルスキルを発動して獲得した人物だ。



けい。よく知ってたな?スキルの事も知らなかったのに?」


カナタがけいに聞くと。



「んっとね。知り合いの人に聞いたんだ。とにかく凄く有名な人が〝亜里亜〟と言う魔法職で居るって。


USOでも、とにかく有名で。会えたら自慢できるって。」


けいの言葉に、イクルが苦笑を浮かべる。


「だってさ、亜里亜。」


ケラケラと笑いながら、イクルが亜里亜に言うと。


「う~~む・・・。そこまで持ち上げられているのか・・・。道理で、最近ギルド勧誘が急激に増えたと思っていたけど・・・。」


実際の所。亜里亜がオリジナルスキルを取得できたのは、運が良かったの一言だからだ。


進化したスキルのディレイを調べる為に、進化したスキル同士を使っていたら。


偶然にも、4回目の発動でオリジナルスキルに進化して。オリジナルスキルのホルダーになってしまったのだから。



亜里亜の取得したOSオリジナルスキルは。


亜里亜が視認できる範囲全てに置いての。


全ステータスの半減。



これは、パーティーメンバー&フォース。


もしくは、同盟及び、連合に属していないプレイヤー全てに有効とされる。

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